犬の手作りご飯派の方も多いが、是非マスターしてもらいたいレパートリーの一つが、スープを使ったつゆだくご飯です。
寒い冬場に体が温まります、また少し食欲が落ち気味の時にはつゆ物は食べやすく、素材も柔らくなってお腹にも優しくなります。
さらに夏場の水分補給にも欠かせませんし、実は適切な水分確保が臓器の機能維持には不可欠なのです。
適切な水分の摂取を行い、体内の保水バランスを整えることは、内臓を正常に働かせ、健康を維持して病気になりにくい体つくりをするためには必須なのです。
そこで今回は、基本ベースとなる3種類のスープの作り方を伝授します。
毎日の愛犬のご飯に活用してください。
メリットは水分補給を行うのみならず、それぞれの食材が持つ様々な栄養価がスープには含まれており、それだけでも効果が目白押しに期待できます。
また、味の変化が生まれて、食欲も倍増します。
先ずは最初にワンちゃんに与えてOKな1日の水分量の目安を頭に入れておきましょう。
犬の体重 | 5kg | 10kg | 20kg | 30kg |
水分量 | 350~400ml | 700~900ml | 1,000~1,200ml | 1,300~1,500ml |
食材:しじみ
鍋に水1Lとしじみ25~30粒を入れて沸騰させます。
あくを丁寧に取りながら、5分間煮込んだら、しじみを取り出してしじみ汁のスープの完成です。
しじみ汁の一番の効能は、肝臓の毒素を排出してくれる作用が働くことです。
この働きをしてくれる成分が「オルニチン」です。
また、幸せのホルモンと呼ばれる「セロトニン」を作る「トリプトファン」や、疲労回復効果があり、夏バテ防止に持ってこいの「タウリン」などを豊富に含んでいます。
・前庭疾患
・季節の変わり目
・留守番を多くさせてしまう
・運動量が多い活発なワンちゃん
・高齢犬
・足腰が弱ってきた
食材;昆布
昆布3~4gを濡らしたキッチンペーパーでしっかり拭きます。
それを細切りにして、水1Lと一緒にポットなどに入れます。
冷蔵庫に入れて一晩置けば完成です。
昆布水の一番の効能は、抗酸化作用が働き老化防止が期待できることです。
昆布には、抗酸化作用をUPさせる効果がある「フコキサンチン」や、腸のぜんどう運動を助ける「アルギニン」などを豊富に含み、さらに活性酸素を除去する効果も期待できます。
・便秘で悩んでいる
・糖尿病である
・ガンケアが必要
・皮膚トラブルを抱える
食材:手羽元
手羽元5~6本の皮を取って、キッチンバサミを使って骨ごとぶつ切りにしましょう。
次に湯通しします。
鍋に水1Lを入れ、手羽元と冷蔵庫にくず野菜があれば一緒に入れて沸騰させ、あくを取りながら20~30分煮ます。
圧力鍋使用ならば、弱火で10分でOKです。
手羽元と野菜を取り出せば、チキンスープの完成です。
チキンスープの一番の効能は、免疫力のUP効果です。
手羽元使用のチキンスープは、骨から出たカルシウム、マグネシウム、リン、ケイ素といったミネラルが豊富です。
また、白血球の働きをフォローする「カルノミン」を多く含みます。
圧力鍋を使用したケースでは、よりコラーゲンが溶けだしやすくなりおすすめです。
・お腹が弱く下痢気味のケース
・関節ケアが必要
・エネルギーUPを図りたい
しじみ汁とチキンスープは、製氷機に入れて冷凍保存しておきましょう。
使用時には、一つずつ解凍して使うのがおすすめです。
昆布水は、ポットに入れて冷蔵庫で保存すれば、1週間程度は持ちます。
食べやすくしてさらに健康効果のUPも図るコツは、とろみをつけることです。
ネバネバやトロトロの食材は、健康効果も抜群です。
つゆだくご飯のおすすめをしましたが、中にはシャバシャバした食感が苦手で食べにくそうにするワンちゃんもいるかも知れませんね。
そのような時の対策としては、少しとろみをつけてあげることがおすすめとなります。
とろみをつけるための食材もたくさんあるので、愛犬の健康状態とも合わせながら、選択してあげましょう。
元来ネバネバやトロトロの食材は、健康効果に優れたお利巧食材が多いとされていますが、味のバリエーションも持たせ、適度にローテーションしてあげるのがおすすめです。
また注意したいのが、切り方のサイズです。
中にはつるりと丸飲みしやすい食材もあるため、喉に詰まらせてしまうのが要注意です。
細かく刻んだり、すりおろしてあげるのが食べやすく消化も良く安心です。
ヤマイモをすりおろして、そのままかけて手で混ぜ合わせてあげましょう。
火を通さずにそのまま生食がおすすめです。
このためとても簡単に食べさせてあげることができます。
食物繊維やビタミンB群を豊富に含み、肝臓や膵臓をサポートしてくれます。
・便が固めなとき
・下痢が続いている(粘膜ケアが必要)
・ガンケアが必要
他の食材の煮汁を利用して煮ます、そこにひたひたの水で溶いた本くず粉の練ったものを入れます。
冷やしてから、手で全体を混ぜて与えてあげます。
・体が冷えているとき
・肥満気味のとき
食材:モロヘイヤやオクラなどネバネバの野菜
モロヘイヤやオクラなどは、下茹でして次に叩いてとろみをだしましょう。
ご飯に一緒に手で混ぜて入れてあげましょう。
モロヘイヤやオクラなどのネバネバ野菜は、食物繊維が豊富で整腸作用やコレステロールの排出作用が働きます。
また、βカロテンも多く含み、粘膜保護や抗がん作用が働きます。
・胃腸炎予防
・犬風邪に効きます
・目のケア
・心臓ケアには特にモロヘイヤがおすすめ
水に浸して5~10分程度ふやかします。
食材を煮終わった鍋を利用して、そのままに煮込んで煮溶かします。
溶けたら冷ましてご飯に手で混ぜて入れてあげましょう。
棒寒天、粉寒天、糸寒天などいろいろな種類があります。
強力な保水力を持つ食物繊維が豊富なため、老廃物の排出促進効果や、抗がん作用も期待できます。
・高血圧
・高コレストロール
・肥満
・がんのケア
食材:めかぶ、もずく、アカモクなどのネバネバした海藻類
細かく刻み、他の食材の粗熱が取れた状態で加えて手で混ぜてあげてください。
ネバネバした海藻には、「アルギニン酸」が多く含まれており、むくみとり効果や抗ガン作用が働きます。
なお、甲状腺疾患のあるワンちゃんにはNGです。
・便秘
・糖尿病
・高血圧
・高コレストロール
・がんのケア
※与え方に際して、手で混ぜるように指示しているのは、手で混ぜてあげることは効果があるためです。
それは手には常在菌が存在するためであり、このため手で触ってあげることで有効成分が増加します。
糠漬けのぬか床も手で直接混ぜることが大事とされ、作る人によって味が変わると言われるほどなのです。
このため手で混ぜることが大きなポイントとなります。
したがって、手作り食でなくドライフードを与えるケースでも、手で混ぜてあげるのがおすすめです。
参考文献:「犬ごはんの教科書」俵森 朋子 (著)