モコは夕焼けって見たことあるかい。
あれは不思議だよな。
まっさ青だった青空が、何故か一転真っ赤に色づくロマン。
神秘の世界さ。
本当に綺麗だよな。
夏場の暑い時期になるとリアスが、熱中症対策として夕方に散歩してくれるからよく見かけるんだ。
あたいらワンコは背が低いから、アスファルトからの照り返しなどの影響も受けやすいし、とにかく散歩の時間を調整することはとても大切なのさ。
それこそ夏場のお昼に散歩してちゃ、熱中症にもなりやすいし、肉球なんて熱せられたアスファルトで火傷しちゃうよ。
さて、それこそあたいは初めて夕焼けを見た時は、何事かと思ったよ。
まるでお空の火事かなって。
不思議に思ってリアスに、何故青い空が真っ赤になるのか聞いたんだ。
「夕方に太陽さんが、笑顔でさようならって、お別れだから最後に目一杯頑張って、明るくしてくれるのが夕焼けだよ」
こんな風に話してくれたよ。
まああたいだってバカ犬じゃないから、そんなはずはないだろと心では思ったけど、何となくロマンティックに感じられて黙って聞いてたのさ。
そうか、夕焼けって、太陽さんがさようならって言って最後にくれるプレゼントなのか。
優しいんだなお日様って。
ボクやっと夕焼けの理由が分かったよ。
いたよいたよ。
まさかとは思ったけど、ここに単純なバカ犬が。
あたいもモコみたいに、ロマンに浸れれば良いけど、教養がじゃましちゃって、つい科学的な理由が気になっちゃうのさ。
さすがにビビでは、あんな話では納得できなかったかな。
仕方ないから、空の色が変わる理由を説明してあげるか。
モコには少し難しいかもな。
リアスバカにしないでよ。
ボクだってすでに2歳超えさ。
人間で言えば、もう二十歳過ぎさ、立派な成人だよ。
さっきの話だってわざとビビの話に乗ってとぼけてみただけさ。
本気で信じてるわけないのさ。
それを見抜けないビビ姉の方が間抜けさ。
ふふふボクを甘く見ちゃダメだよ。(￣ー￣)ﾆﾔﾘｯ
それじゃ空が夕焼け色に変わる講義を始めますか。
聴講生はビビとモコだな。
この謎は、太陽の光が地球に届くまでの距離と光の性質が関係します。
どうだい、ちょっと難しそうだろ。
何故距離に変化が生じるかと言えば、これは地球の傾きのため。
この傾きの違いから、太陽の光が地球の大気層を通過する距離は、昼間は短く、夕方は長くなるわけさ。
どうだいここまでは分かるなOKだな。
続いて、波長の話をするぞ。
酸素と窒素が、大気中の微粒子の主なものとなり、これらは超微小なんだ。
太陽光の波長と比較した場合、1,000分の1程度。
青と紫が、太陽の光の色の中では波長の短い色なのさ。
このため、先ず最初にこれらの色が、大気中の微粒子に当たって散乱仕始めます。
だから昼間は、空が青く見えるわけさ。
さらに高度な話をすれば、光に対する人間の目の感度について説明すべきなんだ。
でもあまり専門的な話しをしても、ビビとモコには分からないだろうから、本来ならばスペクトルの中間に位置する緑色が最高になるとかあるんだけど、ここでは人間の感度では、青がよく見えると覚えておけば十分さ。
次に問題の夕方の日没時となれば、太陽が真上にある日中と比較して、光が届く距離が長くなるわけ。
したがって、青色は波長が短く散乱しやすいため、夕方になった長い距離では、大気層を通過する間に散乱して、ほとんど見えなくなってしまうんだ。
このため残った色は、散乱しにくい、オレンジや赤となるのさ。
だから、夕方の空には、ビビが大好きな真っ赤な夕焼けが誕生するわけさ。
もちろん、朝焼けの理由もまったく同じだよ。
ねえ、リアス。
ボク疑問があるのさ。
夕焼けって必ず毎日見えないよね。
これって何故なの？
おお、さすがモコ、確かに伊達に成犬になってないか。
中々目の付け所が鋭いじゃない。
あたいも丁度今質問しようと思ってたのにさ。
モコに先行されちゃったな。
もじもじ。(´・ω・`)
何かビビの態度を見ていると、今の話は体裁を整えただけで眉唾ものですが、まあ追及しないで話を進めましょう。
確かにモコが鋭く突っ込んだ通り、綺麗な夕焼けは毎日見ることができませんね。
本来、人間の眼で実際に見ることが可能なのは、太陽から発せられる電磁波のごく一部にすぎないことが原因となってしまいます。
色にはそれぞれ異なる波長があるわけですが、人間の眼で感知できるのは、可視波長と呼ばれる範囲だけなんだ。
当然だけど、太陽の光が地球に到達する条件は、毎日変化が生まれます。
雲が多い日だってあるし、様々なわけです。
したがって、毎日同様に太陽光線は届いていても、太陽の光の一部が大気に吸収されてなくなってしまうなど、同じ形では可視波長が人の眼に届かないわけ。
このため、いろんな条件が重なりあって、必ずしも毎日は、ビビが望むような綺麗な夕焼けは見えないんだよ。