抹茶とは、「碾茶(てんちゃ)」と呼ばれる緑茶の一種を粉末にしたもの。
喫茶文化の始まりは、鎌倉時代の初期に栄西禅師が、中国の宋から茶の種子を持ち帰ったからとされています。
室町時代に禅の精神と結びついた茶の湯は、その後千利休によって一つの文化として大成。
現在では抹茶は、茶道の世界だけに留まらず、広く親しまれる存在となり、ミルクや砂糖、炭酸水と混ぜるなど、本当に様々な飲み方が楽しまれるようになっています。
また、抹茶味のお菓子なども大量に販売されています。
特に女性には、美容や健康への効果から、高い人気を誇っています。
また、日本食ブームに牽引されて、海外でもその抹茶の高い健康効果が注目されて、需要が急速に拡大しています。
こんな流行が感じられる抹茶ですが、果して犬に与えて大丈夫でしょうか?
答えは、犬に抹茶を与えるのダメ。
理由は、抹茶には多くのカフェインが含まれており、カフェイン中毒を起こす可能性があるためです。
それこそ過剰に摂取してしまえば、致死量に達する危険性もあります。
カフェインと言って直ぐにイメージする飲み物が、コーヒーといえます。
抹茶にも、コーヒーに劣らず多くのカフェイン量が含まれていると認識しておきましょう。
成分名 成分量(100gあたり)
エネルギー 324kcal
水分 5.0g
タンパク質 29.6g
ナトリウム 6mg
カリウム 2,700mg
リン 350mg
亜鉛 6.3mg
銅 0.6mg
ビタミンB2 1.35mg
ビタミンB6 0.96mg
ビタミンB12 5.8μg
ビタミンC 60mg
ビタミンK 2,900μg
β-カロテン当量 29,000μg
葉酸 1,200μg
ナイアシン 4mg
食物繊維 38.5g
抹茶は葉酸を、100gあたり1,200μgと大量に含んでいます。
葉酸は、ビタミンB12とともに造血のビタミンと呼ばれ、細胞や新しい赤血球を作り出すため、貧血を予防する効果があります。
また葉酸は、正常な遺伝情報を持つDNA細胞の生成に深くかかわり、そのため胎児の先天異常のリスクを減らしてくれます。
さらに、生まれてくる子犬の発育にも役立つため、妊娠中の母犬には積極的に摂取して欲しい栄養素です。
抹茶はカリウムを、100gあたり2,700mgと大量に含んでいます。
カリウムは利尿作用が働き、体内の余分な水分排出をするため、むくみを防止してくれる効果があります。
またさらに、塩分を排出する働きがあるので、血圧を下げて維持してくれるため、高血圧予防の効果があります。
なお、利尿作用によって体内の水分量を調整してくれるので、代謝が良くなります。
抹茶はβ-カロテン当量として、100gあたり29,000μgと大量に含んでいます。
抗酸化作用があり、有害な活性酸素を消去してくれて免疫力をUPさせ、がん予防に期待が持てます。
チワワの体内で酵素によってビタミンAに変わります。
また、必要に応じてビタミンA不足を補うかたちで変換するため、よく言われる中毒や過剰症などを引き起こす心配はありません。
視力や皮膚、喉、鼻などの粘膜を正常に保ち健康維持に効果を発揮します。
カテキンは、抹茶に含まれるポリフェノールのひとつです。
ポリフェノールは、植物が光合成をおこなうときに作られる物質です。
カテキンには、強力な抗酸化作用があり、抗酸化作用が強いとされるビタミンEの10倍、ビタミンCの80倍程度とされ、体内で発生した過剰な活性酸素を消去します。
また、殺菌・抗菌作用があり、感染症の予防に役立ちます。
さらに、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が増えるのを抑制する作用があり、生活習慣病の予防の効果も期待できます。
その他にも、肥満を予防する効果や、抗アレルギー作用だども働きます。
抹茶は、クロロフィルを多く含みます。
クロロフィルには、血液をサラサラにして、コレステロール値をさげる効果があります。
また、デトックス、抗酸化作用、動脈硬化の予防、免疫力アップなどの効果も期待が持てます。
さらに強力な消臭効果があり、口臭や体臭を抑えるとともに整腸作用が働き、腸内環境を整える効果があります。
このように、抹茶にはとても優れた効果がたくさんありますが、カフェインを多く含むため、ワンちゃんに与えられないのは残念です。
犬がカフェイン中毒になる場合の主な症状は、次の通りです。
・頻脈
・呼吸の促迫
・過度の興奮が起こる
・振戦
・痙攣
・心室性期外収縮による整脈
・冠動脈や肺動脈による全身性によるうっ血や出血
抹茶は100mlあたり30mgのカフェインを含むとされますが、他に100 mlあたりでカフェインを多く含む食べ物は次の通り。
・玉露:160mg
・エスプレッソコーヒー:140mg
・インスタントコーヒー:60mg
・栄養ドリンク:50mg
・ココア:45mg
・紅茶:30mg
・お茶(煎茶、ウーロン茶、ほうじ茶):20mg
犬の場合、1kgあたり150mgのカフェインを摂取すると致死量だと言われています。
そのため、3kgのチワワの場合、450mgを摂取すると危険レベルに到達してしまいます。
これは、60mlのお湯に対し2gで抹茶1杯を作るとして、これで64mgのカフェイン量となるため、チワワが約7杯もの量を飲めば、危険な致死量となります。
こう考えれば、現実性には乏しく、死に至る確率は低いといえますが、危険なカフェイン中毒のリスクがある成分には変わりません。
また、時間が経つほどに、症状は悪化してしまうため、愛犬の様子がおかしいと気付いた場合には、すぐに動物病院に連れていきましょう。
抹茶を使用したお菓子などの食品が、巷には溢れているため注意が必要です。
・抹茶ケーキ
・抹茶パン
・抹茶大福
・抹茶アイス
・抹茶プリン
・抹茶ババロア
・抹茶オレ
・抹茶チョコ
・抹茶くず湯
・抹茶わらび餅
・抹茶クッキー