犬を散歩させていると、昔のハント時代の野生の血が騒ぐのか、小動物や昆虫などを見つけると、すぐ追いかけたりします。
この影響もあり、よくマムシに噛まれたなどの被害報告もあります。
昔から犬は、マムシに噛まれても平気で死なないという噂がありますが、人間よりはマムシの毒に対して抵抗力は高いようですが、決してマムシの毒に耐性があるわけではありません。
このため、身体が小さい小型犬であれば死亡する確率も高いので、誤った噂に騙されず、すぐ動物病院に連れて行ってあげましょう。
また、先ほどの野生本能のため、バッタなどを追いかけて、食べてしまうところを見かけることがよくありますが、何と犬がセミを食べてしまうこともよくあるそうです。
思わずゾットしてしまいますが、人間の世界では結構「セミ食の文化」があるといいます。
中国や東南アジアなどでは、セミが普通に食べられており、特に中国では一時期「セミ食ブーム」が起こったほど。
しかもその評価も高く、レストランメニューでは、高級食材だったそうです。
確かに、カニやエビなども姿はグロテクス、最初食べる時には抵抗があったはず。
しかし、カニやエビは何と言っても味が最高、果してセミたち昆虫なんて美味しいのでしょうかね。
実はアメリカでもセミを食べることがあるそうなので、結構思ったよりは味がいけるのかもね。
あなたは、「周期ゼミ(素数ゼミとも)」ってしっていますか?
これはあまりにも有名ですから知っている人も多そうですが、13年、17年の周期で大発生するセミのこと。
2004年には、ジュウシチネンゼミが大発生しましたが、この数が本当に半端ではありません。
何と数十億匹っていう数なのだから、想像を絶する凄まじさです。
とにかく木を眺めれば、セミだらけで木を埋め尽くしていたそうなので、昔のイナゴの大発生を想像させますね。
それこそちょっと古いですが、私は鳥が大量発生するアルフレッド・ヒッチコック監督の「鳥」というサスペンス映画を思い出しましたね。
しかし、大発生するのがセミで良かったですよ。
とにかくセミなら寿命が短いし、毒もなく、噛みつかれたり、血を吸われることもなさそう。
それどころかアメリカでは、この大量発生する周期ゼミのアイスクリームを販売して、人気が上々だったとかいいますから驚き。
また、アメリカの「オノンダーガ族」は17年ゼミを伝統食としているそうで、特に地上に出てきたばかりのセミを集め、これは土から出たばかりの幼虫の方が栄養価が高いため。
フライパンでバター炒めにして食べるそうだ。
なおこの際の注意点が、必ずフライパンに蓋をすることなんだって。
理由は、ポップコーンのように弾けるからなんだそうだ。
まあこのような話を聞けば、犬がセミを食べてしまっても、何か納得できそうですね。
最近では、「インセクトドッグドッグフード」という、タンパク源に「ミールワーム」と呼ばれる虫を使用しているドッグフードもあるくらいですからね。
虫と聞いて驚いた方も多そうですが、実は牛肉の2倍以上のタンパク質を含むのです。
更に動物より飼育がしやすく、飼育時に抗生剤やホルモン剤使用の心配がいりません。
現在将来の食糧難に備え、昆虫は世界中で次世代のタンパク質として注目されている未来食であり、2013年には、国連の食糧農業機関(FAO)が昆虫食の有用性を公表しているほど。
このため「インセクトドッグ」は、時代を先取りした画期的なドッグフードと言えるかも知れませんね。
さてここまでの話で、もしも犬がセミを食べてしまったとしても、大丈夫なことが理解できたはずです。
でも少し気になるのが、人間の場合、生では食べずに熱を加えているわけ。
このため、加熱調理すれば犬に与えても問題ないといえますが、「生」で食べてしまえばどうなのかという疑問が浮かびます。
先ほど人間にも「セミ食文化」があったり、虫を食材に使ったドッグフードがあると話したように、思った以上にセミなどの昆虫は栄養豊富なのです。
セミに限らず、昆虫にはタンパク質が豊富に含まれています。
先ほど紹介したように、牛肉の2倍以上のタンパク質を含むというのだから驚き。
タンパク質は、人や犬の体を作る元であり、体の約70%近くが水分ですが、次に多いのがタンパク質で、全体の約20%を占めるとされています。
タンパク質をしっかり摂取することで、犬の皮膚や毛なみがよくなり、ワンちゃんの健康を維持するうえで大切な成分といえます。
セミの栄養源は何といってもタンパク質ですが、その他にも見のがしてはいけないのが、カリウム、リン、カルシウム、亜鉛といったミネラルも多く含むところ。
特に、土から出た直ぐの状態の時に豊富といいます。
セミの抜け殻といえば、ショコタン(中川翔子さん)をつい思い出してしまう方が多いのではないでしょうか?
ショコタンは、大量のセミの抜け殻を頭につけたりした写真を公開して、一時期話題になりましたね。
セミの抜け殻を食べたならば、その味は無味無臭だとか。
沖縄の一部の地域では、今はもう食べられていないそうですが、セミを食用としていた習慣があるそうで、ひょっとすればセミの抜け殻も食べたかもしれませんね。
実は抜け殻には、キトサン、イソキサントプテリン、アデノシン三リン酸などが豊富に含まれていることが判明しています。
このためセミの抜け殻は、漢方薬の生薬として使用されていたりもするのです。
なお、中国ではスジアカクマゼミの抜け殻、日本であれば、アブラゼミやクマゼミの抜け殻が漢方薬として使用されています。
ちなみに、セミの抜け殻の漢方薬は、「蝉退」(ゼンタイ・センタイ)と呼ばれており、熱を下げたり、皮膚の痒みを止める働きがあるといいます。
煎じて飲んだり、粉末使用したりしますが、その味は意外にも甘いんだそうですよ。
これはセミの抜け殻に含まれるチキン質が溶け出すからだそうです。
このように、セミの抜け殻にすら、栄養があるのです。
セミなどの昆虫だと、寄生虫などが気になるところ。
バッタなどであれば、「ハリガネムシ」が寄生虫として有名です。
ハリガネムシの場合は、哺乳類には寄生できないから安心ですけどね。
セミの場合、気になる寄生虫は「セミヤドリガ」。
これは、セミに外部寄生する「蛾(ガ)」の幼虫。
セミに寄生して体液を吸って成長します。
見た目は白くふっくらしており、まるでマシュマロみたいな感じ。
気になりますが、特に毒とかはありません。
一応人間が食べてしまっても問題がないことが分かっているそうです。
ボーベリア菌とは「カビ」の一種であり、昆虫に感染して病気を起こしてしまいます。
昆虫がボーベリア菌に感染してしまうと、体内から水分が奪われ体が白くなり、最後には干からびたミイラ状の死骸となってしまいます。
カビのため、何か悪い影響が起こりそうで怖いですが、人畜に対しての害はないと報告されています。
犬は思った以上にセミをパクリとやってしまうことが多いそうですが、今のところセミを食べて問題症状が起こった報告例はないそうです。