犬はたらこを食べても大丈夫?気になる塩分・コレステロール・プリン体

私も大好物の「たらこ」なんですが、本当にごはんの友として最高。

あのプチプチとした食感も最高で、それこそ炊き立てのご飯にたらこがあれば、何杯でも食べれてしまいますね。

でも、こんなにたらこがご飯に合う最大の理由があの程よい塩気。

人間にとっては最高のご飯の友ですが、愛犬にはやはり何と言っても塩気が心配。

さらに、コレステロールやプリン体なども気になるところ。

はたして「たらこ」は、ワンちゃんに与えて大丈夫なのでしょうか?

犬はたらこを食べても大丈夫?

結論を言えばたらこは、犬にとってはハードルが高い食材と言えますね。

中毒を起こしてしまうような成分は含まれていませんが、やはり最大の難敵が塩分。

たらことは、一般的にはスケトウダラという種類の魚の卵巣を塩漬けして作った人間用に味付けした加工食品。

基本的に、加工品は犬には与えるべきではないのです。

どうしても味が濃く、塩分が多くなります。

たらこは、人間が食べてもあれだけ塩っ辛さを感じるわけ、当然ワンちゃんには塩分過多であり、与えることはNG。

また、塩分以外にも気になる理由があるため、それはこの後紹介します。

たらこの主な栄養素

たらこの100gあたりの生と焼きについて比較してみましょう。

成分名           たらこ生       たらこ焼き

エネルギー         140kcal                 170 kcal

水分            65.2g                    58.6g

タンパク質         24g                           28.3g

脂質            4.7g                          6.1g

ナトリウム         1,800 mg                  2,100mg

カリウム          300 mg                     340mg

リン            390 mg                     470mg

亜鉛            3.1 mg                      3.8mg

銅             0.08 mg                    0.1mg

ビタミンB2                          0.43mg                     0.53mg

ビタミンB6          0.25mg                     0.27mg

ビタミンB12        18.1μg                      23.3μg

ビタミンC                            33mg                        21mg

ビタミンD         1.7μg                        1.6μg

葉酸                52μg                         50μg

ナイアシン         49.5mg                     56.9mg

参照:食品成分データベース(文部科学省)

たらこは魚卵だけに、栄養価は非常に高いといえます。

犬が必要な動物性タンパク質を豊富に含み、筋肉を維持して増やし、体力や免疫力の向上、また疲労回復にも有効。

ビタミンB群やミネラルも豊富に含みます。

ビタミンB12など結構多く含んでいますね。

ビタミンB12は、脳や神経のビタミンと呼ばれ、脳神経の働きに関与し、脳からの指令を体全体に伝える役目を担います。

また、葉酸と協力することで、赤血球の中のヘモグロビンを作る働きをします。

ビタミンB12の主な働きは以下の通り。

ビタミンB12の主な働き
・新しい細胞を作る。

・壊れた細胞を修復する。

・神経の壊れた部分を修復する。

・神経伝達物質を作る働き。

・免疫を向上する。

・血流をよくする。

それだけに、塩分が多く、愛犬に与えるべきではないのが残念ですね。

犬に対するたらこの問題点

「塩分量」

たらこの最大の問題点が塩分の多さ。

先ほどの表でも紹介したように、たらこの100gあたりの塩分量は、生のたらこで1,800 mg、焼きたらこの場合は、水分が飛んだ分高めとなって2,100mg。

実は犬が1日に必要とする塩分量は、ナトリウムで体重1㎏あたり50mgとされています。

これから考えてみれば、仮に体重が10kgのワンちゃんであれば、1日に必要なナトリウム量は500mgであり、生たらこであれば27gも食べればアウトです。

もちろんドッグフードなど他の食べ物にも塩分は含まれていますしね。

ちなみに犬の塩分致死量は、体重1㎏あたり4gだと言われていますよ。

「コレステロール」

たらこは魚卵だけに栄養価が高く、コレステロールも100gあたり280mg。

例えば、鶏肉のささみであれば、100gあたりのコレステロールは67mgであり、その多さが明白ですね。

「プリン体」

痛風の方であれば、聞くのもおぞましい「プリン体」という言葉。

名前の通り、風が吹くだけでも激痛が走ると言われています。

この痛風の原因が、プリン体の過剰摂取とされています。

ビールに多く含まれていることで有名ですが、たらこにも120mgと多く含まれています。

なお、犬の場合は痛風にはならないという情報もあったりします。

しかし犬の場合は、問題となるのが尿路結石。

プリン体が代謝して「尿酸」となってしまい、これがアルカリ性になって結石となるからです。

「チアミナーゼ(アノイリナーゼ)」

たらこには、魚介類の多くが含むチアミナーゼ酵素の一種である「アノイリナーゼ」というビタミンB1を分解する酵素を含んでおり、注意が必要です。

そのため、アノイリナーゼを多く摂取してしまうと、ビタミンB1欠乏症が生じてしまいます。

アノイリナーゼは熱に弱い性質があり、加熱すれば活力を失うため、たらこを加熱処理すれば危険はありませんが、焼きたらこにしてしまえばさらに若干ですが塩分量が増してしまいます。

ビタミンB1欠乏症の特徴は、次の通り。

ビタミンB1欠乏症の特徴
・食欲不振

・発育障害

・体重減少

・おう吐

・よだれが多く出る

・ふらつき

・元気がなくなる

・けいれん発作

・運動障害

・心室肥大

・徐脈

神経系にも影響を及ぼすため、中枢神経機能の低下、衰弱の症状もあらわれます。

通常のケースであれば、動物病院に連れて行って治療すれば、1日もあれば回復が見込めます。

ただし、甘く見てもいけません。

子犬や老犬、小型犬などの抵抗力が弱いワンちゃんが、アノイリナーゼを大量摂取してしまい、チアミン欠乏に陥った場合、最悪のケースでは死に至るケースもありえます。

ビタミンB1欠乏症の皆さんお馴染みの病名を上げれば、「脚気(かっけ)」です。

よく病院で、足の膝のお皿の下の部分を叩かれて、足が跳ね上がるかの反射検査をされた経験があるはずです。

脚気は江戸時代には、「江戸患い」と呼ばれて大流行しました。

江戸時代からお米を精米して食べる習慣が始まり、ビタミンB1を多く含む米ぬかを抜いてしまったことから生じたのです。

ちなみに、たらこの他にも次のような食材には「アノイリナーゼ」を多く含んでいるので注意しましょう。

カニ・エビ・シャコなどの甲殻類や魚介類。特に二枚貝は要注意。

また、ワラビ・ゼンマイなどのシダ類にも含まれています。

riasu