鮎は川魚であり、初夏の代表的な味覚といえます。
「年魚」とか「香魚」とも呼ばれますが、これは鮎の寿命が1年であることや、香りが良いためです。
鮎猟が解禁されると、鮎好きなみなさんが一斉に川に入って釣竿を垂らしています。
旬の時期の鮎の塩焼きが最高ですね。
さて今回は、犬に鮎を与えても大丈夫か見ていきましょう。
結論を言えば、犬が鮎を食べても大丈夫です。
鮎の成分上に、犬が中毒を引き起こすようなものは含まれていません。
元来肉食動物である犬にとっては、動物性タンパク質である魚は非常に犬向きの食材といえます。
ただし、塩焼きにしてしまえば塩分が多すぎるし、その他にも注意すべき与え方のポイントがあります。
成分名 成分量(100gあたり)
エネルギー 100kcal
水分 77.7g
タンパク質 18.3g
ナトリウム 70mg
カリウム 370mg
カルシウム 270mg
リン 310mg
亜鉛 0.8mg
銅 0.06mg
ビタミンB2 0.15mg
ビタミンB6 0.17mg
ビタミンB12 10.3μg
ビタミンC 2mg
葉酸 27μg
ナイアシン 3.1mg
パントテン酸 0.7μg
鮎には、100gあたり370mgのカリウムが含まれています。
カリウムはミネラルの一つであり、ナトリウムと協力して細胞内の浸透圧を維持したり、細胞の活性を維持したりする役割があります。
ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制して、体内の不要なナトリウムを排出して、細胞内の浸透圧を維持します。
そのため血圧を下げるのを手助けしてくれて、高血圧の予防やむくみの解消に効果的です。
また、余分なナトリウムを排出することにより、神経刺激の伝達を高め、筋肉機能の調節、心臓機能などに効果を発揮してくれます。
また、疲労回復にも良い効果を与えてくれます。
なお、カリウムは欠乏すると「低カリウム血症」を発症し、子犬が情動不安になったり、筋麻痺などの例が報告されています。
また、過剰摂取してしまうと「高カリウム血症」の原因にもなるため、適量摂取に心がける必要があります。
鮎には100gあたり270mgものカルシウムが含まれています。
「天然の精神安定剤」とも呼ばれるカルシウムは、99%は骨の材料になり、骨や歯を丈夫にしてくれます。
骨そしょう症の予防にも効果的です。
また、神経や筋肉の活動が円滑に働くようにサポートをする役割もあります
鮎には100gあたり310mgとリンを豊富に含みます。
リンはカルシウムとともに骨を構成する重要なミネラルで、別名「骨のミネラル」と呼ばれます。
約85%程度が骨や歯を作るために消費され、残り15%程度がエネルギーを作ったり、神経系の働きに作用したりします。
糖質代謝を円滑にすることで、骨や歯を作る効き目を発揮します。
欠乏すると骨折しやすくなり、さらに成長に悪影響を及ぼす一方、過剰に接種してしまうと、結石ができやすくなったり腎疾患のもとになったりするので注意が必要です。
葉酸は、妊娠初期に必要となる栄養素であり、鮎には葉酸が含まれています。
細胞の生成に必要な栄養素であり、ビタミンB12とともに造血のビタミンと呼ばれ、赤血球の生産をフオローする働きがあります。
また葉酸は、正常な遺伝情報を持つDNA細胞の生成に深くかかわり、そのため胎児の先天異常のリスクを減らしてくれます。
さらに、生まれてくる子犬の発育にも役立つため、妊娠中の母犬には積極的に摂取して欲しい栄養素です。
鮎に含まれるビタミンEの量は、魚の中でもトップクラスです。
ビタミンEは不妊症の研究がきっかけで発見されたビタミンであり、「若返りのビタミン」とも呼ばれ、アンチエイジング効果が期待できます。
また、
強力な抗酸化作用が働き、活性酸素を無害化し、コレステロールの酸化を防止します。
このため動脈硬化の予防や血管の健康を保ち、毛細血管の血流を良くする働きがあります。
鮎にはパントテン酸が含まれています。
パントテン酸は、糖質や脂質の分解や代謝をサポートしてくれて、新陳代謝を高める働きがあります。
また、ビタミンCの働きをサポートする作用もあり、コラーゲンの生成を補助し、潤いやツヤのある皮膚や毛を保ちます。
さらに、乳酸菌などの善玉菌を増やす働きもあり腸内環境を整え、また蠕動運動を促進して便秘に効果を発揮します。
鮎は、必須脂肪酸であるEPAとDHAを豊富に含んでいます。
炎症抑制作用が働き、認知症を予防する効果もあります。
アレルギー性皮膚炎などを始めとする、皮膚病にかかりやすいワンちゃんにはおすすめです。
川魚は海水魚より寄生虫のリスクが上がるため、生食は避けるのが基本です。
必ず加熱したものを与えるように注意しましょう。
ちなみに鮎の選び方のポイントは、全体にハリがあり、目が澄んでいること。
目のチェックは特に重要で、目が血走っていたり、濁っているものはNG。
また、腹が不自然に柔らくなってきている場合、鮮度が落ちている証拠となります。
犬は習性ですぐ丸のみしてしまうので、そのまま与えないこと。
面倒でも必ず身を小さくほぐして、骨を取り除いた物を与えるようにしましょう。
そうしないと丸ごと骨まで飲み込んでしまうため、喉に詰まったり刺さったり、胃や腸を傷つける可能性もあります。
また、寄生虫対策として、内臓は与えないようにしましょう。
さらに、出来ればエラも切り取って与えないのがおすすめです。
鮎といえば塩焼きが王道。
しかしワンちゃんに鮎を与えるケースでは、塩を多く含む鮎の塩焼きはおすすめですません。
愛犬用の場合、鮎には塩や醤油など、調味料は使用しないのがおすすめです。
仮に、鮎の塩焼きを愛犬にお裾分けしたい場合は、塩を含まない中身のほぐした身の部分のみを与えるべきです。
塩味のきいた、表面の皮や、塩をたっぷりすり込む尾ビレ、背ビレ、腹ビレなどの部分は絶対に与えてはダメです。
ちなみに、犬が1日に必要とする塩分量は、ナトリウムで体重1㎏あたり50mgとされており、なお塩分致死量は、体重1㎏あたり4gだと言われています。
どのような食べ物でも、初めて愛犬に与える時には、常にアレルギーに注意すべきです。
このため、初めて愛犬に鮎を食べさせるときは、極微量与えることがまずは常識。
そしてしっかり、愛犬に変化が何か生じないか観察します。
元気がなくなるなど、少しでも気になる変化が感じられた時には、それ以上与えないようにしてください。
アレルギーが起こったケースでは次のような症状が起こります。
・目の充血
・体を痒がる
・湿疹、じんましんが出る
・嘔吐、下痢など