杏子(あんず)が多く出回る時期は6月~7月頃ですが、旬の時期が一瞬で過ぎてしまい、また酸味が強いため、生食よりもジャムやドライフルーツ、洋菓子などに加工されることが多い果物です。

生で楽しみたい場合には、「ハーコット」など酸味の少ない生食用品種がおすすめです。

比較的甘いと評判なのが、ヨーロッパで品種改良されたアンズ(アプリコット)です。

また、アジア地方で品種改良されたアンズは、一般的に酸味が強いのが特徴とされています。

日本でアンズを食べるようになったのは、明治時代からとされていますが、平安時代の書物には、既に「カラモモ」という和名で登場しており、かなり昔から日本に渡ってきた果物といえそうです。

「あんずの選び方(見分け方)」

・ジャムはやわらかめ、シロップ漬けはかためが基本の選び方のポイント

・生食向けのものは完熟したものを選びます

・緑色が残ったものは固いため注意が必要

・ふっくらとしており、果皮がなめらかなものがオススメ

・果皮に傷や変色がないものを選んでください

チワワにあんずを食べさせて大丈夫?

答えはイエスです。

ただし、愛犬に与えるためには注意点も多い果物となります。

詳しくは、この後説明していきます。

あんずに含まれる成分

実際にどのような成分があんずに含まれているのか紹介します。

あんずの成分(100gあたり)

成分            含有量

エネルギー         36 kcal

水分            89.8g

タンパク質         1.0g

脂質            0.3 g

炭水化物          8.5 g

カリウム          200mg

カルシウム         9mg

マグネシウム        8mg

リン            15mg

鉄             0.04 mg

亜鉛            0.1 mg

βカロテン         1,400μg

ビタミンB2         0.02mg

ビタミンB6         0.05mg

ビタミンC                     3 mg

葉酸            2μg

食物繊維                       1.6 g

参照:食品成分データベース(文部科学省)

あんずの主な栄養素

「食物繊維」

あんずは食物繊維を1.6g含みます。

食物繊維は、お腹の調子を整えて善玉菌を増やし、便秘の解消や腸内環境の改善に大きな力を発揮してくれます。

しかしワンちゃんは、食物繊維が消化吸収できないので注意が必要です。

「βカロテン」

あんずはβカロテンを1,400μgも含んでいます。

βカロテンには抗酸化作用があり、有害な活性酸素を消去してくれて免疫力をUPさせ、がん予防に期待が持てます。

またβカロテンは、チワワの体内で酵素によってビタミンAに変わります。

なお、必要に応じてビタミンA不足を補うかたちで変換するため、よく言われる中毒や過剰症などを引き起こす心配はありません。

視力や皮膚、喉、鼻などの粘膜を正常に保つ働きがあり、ワンちゃんの健康維持に効果を発揮してくれます。

「カリウム」

あんずにはカリウムが200mgも含まれています。

カリウムは、代謝や神経の働きをサポートすることで、情報を正しく伝達してくれ、体の中の不要な水分や塩分を体外に排出してくれます。

また、心臓や筋肉の働きを調節したり、高血圧の予防にも効果を発揮します。

カリウムが不足すると、脱力感が生じ、神経過敏となり、不整脈などを発症しやすくなります。

犬の健康を維持する上でカリウムは、欠乏しても過剰になっても悪影響を与えてしまいます。

「有機酸」

あんずには、クエン酸やリンゴ酸などといった有機酸を多く含んでいます。

クエン酸には、疲労の原因とされる乳酸の増加を抑制して分解する作用があります。

また、クエン酸サイクルと呼ばれる一連の流れで、効率よくエネルギーを作り疲労回復に効果を発揮します。

さらにクエン酸の注目特徴として、以下に示す2つの「キレート効果」と呼ばれる働きがあります。

・体内に吸収されにくいとされる成分を、吸収されやすい形に変えて吸収しやすくする。

・体内に含まれている有害物質を、排出しやすい形に変えて排出する。

リンゴ酸の特徴は、体に溜まった疲労の原因の乳酸を分解する作用があることです。

そのため、疲労回復に効果がある成分です。

このためあんずを食べると、胃腸の働きが良くなり、殺菌作用が期待でき、さらに乳酸を減らしてくれるので、疲労回復にも効果が期待できます。

「GABA(ギャバ)」

天然アミノ酸の1種であるギャバが、あんずの果肉には含まれています。

GABAはドーパミンやグルタミン酸などと同じ神経伝達物質であり、脳の血行を良くする作用が働き、興奮をおさえ緊張状態を緩和して、ストレスを軽減する働きや、不眠解消、血圧を下げる、コレステロールや中性脂肪を抑える、脳細胞の活性化を図りボケ予防の効果にも期待されなどるたくさんの効果が認められています。

チワワにあんずを食べさせる時の注意点

「与えすぎに注意」

あんずはカロリーや糖質が高い果物のため、与えすぎてしまうと糖分のとりすぎになり、肥満や歯周病、糖尿病の原因になりがちです。

また犬が消化できない食物繊維も含むため、与え過ぎてしまうとお腹を壊して下痢や嘔吐を起こしてしまいます。

このため、与えすぎには注意しましょう。

「未成熟のあんずは注意」

未成熟のあんずを愛犬に与えるのはNGです。

未成熟のあんずには、有毒な「アミグダリン」という物質が含まれているため、絶対にワンちゃんに与えてはダメです。

アミグダリン自体は問題ありませんが、体内で加水分解されることで、青酸系の猛毒であるシアン化水素という物質に変化するため要注意です。

アミグダリンは主に、梅、ビワ、杏子(あんず)、モモなどのバラ科植物の未成熟な果実や種子、葉などに含まれており、みなさんもよく「青梅を生で食べてはいけない」と注意されたことがあるはずです。

アミグダリンの中毒になってしまうと、最悪死に至ることもあり、主な中毒症状は次の通りです。

・嘔吐

・発熱

・歩行困難

・意識障害吐

お店で買ったあんずは未成熟状態で販売されることはないため安全ですが、種は同様にアミグダリンを含むため注意が必要です。

愛犬にあんずを与える際には、必ず種を取り除いてください。

また問題となるケースが、散歩コースにあんずはもちろん、梅、ビワ、モモがある場合です。

ワンちゃんは拾い食いが得意技のため、これらの未成熟な果実、種、葉などを愛犬が食べないように十分注意を払ってください。

「あんずの皮に注意」

あんずの皮は取り除いてから、愛犬に与えるようにしましょう。

あんずの皮には食物繊維が多く含まれています。

そのため、愛犬が皮を食べてしまうと消化不良を起こし、下痢や嘔吐を引きお起こす原因となってしまう可能性があります。

「加工品に注意」

あんずの加工品にも注意してください。

干しあんず

干しあんずとは、その文字通りにあんずを乾燥させて水分を蒸発させたドライフルーツであり、中には梅干しと同じ製法で作られているものもあります。

天日に干しにするだけではなく、最近では油であげたり、砂糖で脱水させる、また中には砂糖がコーティングされているものもあります。

いずれにせよ、成分が凝縮されているため、すぐに糖分の過剰摂取に繋がってしまいます。

裏面のパッケージに砂糖量が明記されていたりもします。

与えること自体は問題ありませんが、かなり少量にするべきでしょう。

個人的な意見としては与えない方がおすすめです。

「あんずの缶詰」

あんずの缶詰は、あんずを砂糖や甘いシロップ漬けにしているものがほとんどです。

そのため、糖分が多く含まれており、カロリーも跳ね上がります。

よく出回っており、簡単に購入でき便利ですが、愛犬をメタボ犬にしてしまうだけであり、与えるのは避けてください。

「あんずジャム」

あんずジャムの場合、砂糖を使用せずに家庭で手作りするのであればOKですが、たっぷり砂糖が使用されている市販の加工品はNGです。

「アレルギーに注意」

ワンちゃんは初めて食べるのもであれば、何でもアレルギーが出る可能性があります。

このため、初めてチワワにあんずを与える際には極少量として、よく注意して与えましょう。

与えてから、数時間はチワワから目を離さず様子を観察してください。

口や目のまわりを痒がる素振りが見えたり、元気がなくなるなど普段と少しでも違った様子が見られたケースでは、アレルギーの可能性が高いです。

皮膚が赤くなり、湿疹、じんましんが出たり、目の充血や嘔吐や下痢の症状があれば、すぐに動物病院を受診してください。

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