世界では、宗教上の戒律などでタコが食べれないなど、意外に忌み嫌う国も多いのがタコ。
そのためもあり、タコを食べる食文化は珍しいらしく、タコが大好きな日本人が、世界の半数以上を食べていると言われています。
このように日本では愛されるお馴染みの食材であるタコですが、はたして犬はタコを食べても大丈夫でしょうか?
結論を言えば、犬はタコを食べても大丈夫。
生で食べてしまうと少し問題ありですが、量を食べ過ぎなければ、基本的には大丈夫。
また、熱を通して茹でたタコにすれば安心です。
まだこ(生・ゆで)の100gあたりの主な栄養素を比較してみましょう。
成分名 まだこ(生) まだこ(茹で)
エネルギー 76kcal 99 kcal
水分 81.1g 76.2g
タンパク質 16.4g 21.7g
脂質 0.7g 0.7g
ナトリウム 280㎎ 230mg
カリウム 290㎎ 240mg
マグネシウム 55mg 52mg
リン 160㎎ 120mg
亜鉛 1.6㎎ 1.8mg
銅 0.3㎎ 0.43mg
ビタミンB2 0.09mg 0.05mg
ビタミンB6 0.07mg 0.07mg
ビタミンB12 1.3μg 1.2μg
葉酸 4μg 2μg
ナイアシン 2.2mg 1.9mg
タコに含まれるタウリンは、強い抗酸化作用を持ち、肝臓や心臓の機能を正常に保ち、肝臓の解毒能力を強化したり、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らしたり、血圧を正しく保つ、さらに視力を回復させるなどの働きがあります。
タウリンをワンちゃんは、肝臓で合成できますが、当然合成量にも限度があり、加齢に伴い量も減ってくるため、不足を補う上でもしっかり食べ物からも補ってあげる必要があります。
タコには亜鉛も豊富に含まれています。
犬は人間よりも、多くの亜鉛が必要だとされており、体内で作り出すことができないため、食事で不足しないようにしっかり摂取する必要があります。
亜鉛には、以下のように様々な働きをサポートする働きがあります。
・細胞の再生
・ストレスの軽減
・免疫力の向上
・新陳代謝を活性化し、毛並みや肌の健康を保つ
・味覚を正常に保つ機能
・抗酸化作用の活性化
造血ビタミンの一つとされるビタミンB12は、葉酸とタッグを組んで、赤血球に含まれるヘモグロビンを造成し、貧血や老化防止に効果を発揮します。
また、タンパク質、炭水化物、脂質などの代謝を助ける補酵素として働き、さらに脳からの指令を体全体に伝える神経を正常に保つ作用もあります。
タコには、活性酸素を無害化する抗酸化作用が働くビタミンEも多く含まれており、動脈硬化など様々な病気の予防が期待できます。
また、「若返りのビタミン」とも呼ばれ、アンチエイジング効果が期待できます。
タコにはカリウムが豊富に含まれています。
カリウムは、代謝や神経の働きをサポートすることで、情報を正しく伝達してくれ、体の中の不要な水分や塩分を体外に排出してくれます。
また、高血圧の予防にも効果を発揮します。
カリウムが不足すると、脱力感が生じ、神経過敏となり、不整脈などを発症しやすくなります。
犬の健康を維持する上でカリウムは、欠乏しても過剰になっても悪影響を与えてしまいます。
タコは脂質が少なくタンパク質が多いため、犬は消化が苦手。
このため、与え過ぎてしまうと消化不良を起こし、下痢や嘔吐の原因となるため注意が必要です。
犬はあまり噛まずに直ぐ丸呑みする習性があるため、喉に詰まらす恐れがあるため、細かく刻んで与えるようにしてあげましょう。
またタコは消化が悪い食材のため、細かく刻むことで、消化もしやすくなり一石二鳥です。
タコには、多くの魚介類や甲殻類と同様に、チアミナーゼ酵素の一種である「アノイリナーゼ」というビタミンB1を分解する酵素を含んでおり、注意が必要です。
このため、生タコを食べてしまうと、ビタミンB1欠乏症が生じる可能性があります。
ただし、生タコに含まれるアノイリナーゼの含有量は少ないため、タコを少量食べた程度であれば、ほぼ問題はないといえます。
また、アノイリナーゼは熱に弱い性質があり、加熱すれば活力を失うため、タコを加熱処理すれば危険はありません。
このため、ワンちゃんには生タコでなく、必ず熱を加え茹でタコを与えるように注意しましょう。
仮にビタミンB1欠乏症になると、次のような症状を招いてしまいます。
・食欲不振
・発育障害
・体重減少
・おう吐
・よだれが多く出る
・ふらつき
・元気がなくなる
・けいれん発作
・運動障害
・心室肥大
・徐脈
神経系にも影響を及ぼすため、中枢神経機能の低下、衰弱の症状もあらわれます。
通常のケースであれば、動物病院に連れて行って治療すれば、1日もあれば回復が見込めます。
ただし、甘く見てもいけません。
子犬や老犬、小型犬などの抵抗力が弱いワンちゃんが、アノイリナーゼを大量摂取して、」
チアミン欠乏に陥った場合、最悪のケースでは死に至るケースもありえます。
ビタミンB1欠乏症の皆さんお馴染みの病名を上げれば、「脚気(かっけ)」です。
よく病院で、足の膝のお皿の下の部分を叩かれて、足が跳ね上がるかの反射検査をされた経験があるはずです。
脚気は江戸時代には、「江戸患い」と呼ばれて大流行しました。
江戸時代からお米を精米して食べる習慣が始まり、ビタミンB1を多く含む米ぬかを抜いてしまったことから生じたのです。
ちなみに、タコの他にも次のような食材には「アノイリナーゼ」を多く含んでいるので注意しましょう。
カニ・エビ・シャコなどの甲殻類や魚介類。特に二枚貝は要注意。
また、ワラビ・ゼンマイなどのシダ類にも含まれています。
生タコはダメと散々注意しましたが、さらに生タコの場合、吸盤が喉に吸い付いてしまう恐れもあります。
タコの加工食品に注意しましょう。
酢漬けのタコやカルパッチョ、またおでんに入っている味付きタコ、さらにタコ焼きの中のタコなど、いろんな味付けされたタコが販売されています。
これらの加工食品を食べてしまうと、味が濃く塩分が多く含まれており、ワンちゃんにとっては塩分過多となり、心臓や腎臓などに負担がかかり、糖尿病など様々な病気の原因となってしまうため、与えないように注意しましょう。
また特にタコ焼きは、犬に与えると危険なネギが入っていたりもしますよ。
タコの血液は青色です。
人間の血が赤いのは、ヘモグロビンが含まれる鉄分の影響ですが、タコの青い血は銅が含まれている影響のためです。
このようにタコの血は、銅が血液中で酸素と結びつくことで青色に変色しているわけです。
このためワンちゃんが、タコを食べてこの銅を体内に溜めてしまうと、代謝機能が衰え「銅蓄積症」になる恐れがあります。
犬にとっては、銅蓄積症が発症することなく、平気な犬がいる反面、遺伝的に発症しやすい犬種も存在します。
特に要注意とされる犬種が、ベドリントンテリアとウエストハイランドホワイトテリアであり、そのうちベドリントンテリアに関して言えば、銅蓄積症の危険因子を約50%が保有するとされており、さらにその半数の25%がすでに発症しているとされているほどです。
その他の犬種としては、まだ銅蓄積症との関係が明白でないとしながらも、肝障害が生じやすいとされるドーベルマン、コッカースパニエル、ダルメシアン、また、ワイヤーフォックス・エアデール・ケリーブルーなどのテリア系種が注意が必要とされています。