土手につくしが生えだすと、春の訪れを感じさせてくれます。

散歩中の愛犬も、つくしを見つけて何か変わった奴がいるぞという感じで、よくクンクンしています。

つくし刈りって意外とはまってしまい楽しいもの。

子供のころは、よく家族でやりましたね。

最近はやはり昔に比べて、つくしを目にする機会も減ってきた感じ。

夢中になってつくしをとったものの、子供のころに食べた印象は、少し苦くてあまり美味しくは感じなかった。

しかし不思議なもので大人になってから食べてみると、これがなかなか春を満喫できて、結構美味しくなってきます。

さて今回は、こんな春を感じさせてくれるつくしを、犬が食べても大丈夫なのか見ていこう。

犬はつくしを食べても大丈夫?

答えは、犬がつくしを食べても大丈夫。

しかしつくしには、微量ですが毒性があります。

その気になる成分が、「アルカロイド」「チアミナーゼ」「無機ケイ素」など。

これらの成分は、人間にも害を与え、特に心臓、腎臓の持病を持つ人には要注意とされ、当然ワンちゃんもダメなわけです。

アルカロイドは、よくジャガイモの芽は毒があるから注意せよと言われる犯人。

チアミナーゼは大量摂取すると、ビタミンB1欠乏症を起こす恐れがあります。

ただしこれらの毒性成分は微量なため、一度に大量に食べたり、日常的に与えるようなことをしなければ、さほど心配はありません。

つくしの主な栄養素

100gあたりのつくし生とつくし茹での栄養素を比較

成分名           つくし生成分量    つくし茹で成分量

エネルギー         38kcal                            33 kcal

水分            86.9g                              88.9g

タンパク質         3.5g                                 3.4g

ナトリウム         6mg                                 4mg

カリウム          640mg                            340mg

カルシウム         50mg                               58mg

リン            94mg                               82mg

亜鉛            1.1mg                              1mg

銅             0.22mg                            0.16mg

ビタミンB2         0.14mg                             0.1mg

ビタミンB6         0.35mg                             0.21mg

ビタミンC                     33mg                                15mg

β-カロテン                    1000μg                            1100μg

葉酸               110μg                               74μg

ナイアシン         2.2mg                              1.1mg

食物繊維          8.1g                                  6.7g

参照:食品成分データベース(文部科学省)

「β-カロテン」

つくしはβ-カロテンを豊富に含んでいます。

抗酸化作用があり、有害な活性酸素を消去してくれて免疫力をUPさせ、がん予防や老化予防に期待が持てます。

ワンちゃんの体内で酵素によってビタミンAに変わります。

また、必要に応じてビタミンA不足を補うかたちで変換するため、よく言われる中毒や過剰症などを引き起こす心配はありません。

視力や皮膚、喉、鼻などの粘膜を正常に保ち健康維持に効果を発揮します。

「フラボノイド酸」

つくしには、フラボノイド酸の一種である「ツクシフラボノイド」と呼ばれる栄養成分が含まれています。

抗がん作用・美肌づくり・老化防止効果などが期待できます。

また忘れてはいけない嬉しいフラボノイド酸の効能が、花粉症などのアレルギーを予防する効果があること。

このため、花粉症に悩む人の場合、積極的に食べておきたい食材です。

「ビタミンC」

つくしにはビタミンCも含まれています。

ビタミンCには抗酸化作用があり、活性酸素の働きを抑制してくれます。

このため風邪予防にはもってこいで、さらに疲労回復や免疫力をUPさせてくれます。

また、犬の肌や被毛、粘膜を健康的に保つ効果があり、コラーゲンの生成などアンチエイジング効果もあります。

「ビタミンE」

つくしに含まれるビタミンEの量は、何と野菜の中でもトップクラスです。

ビタミンEは不妊症の研究がきっかけで発見されたビタミンであり、「若返りのビタミン」とも呼ばれ、アンチエイジング効果が期待できます。

また、

強力な抗酸化作用が働き、活性酸素を無害化し、コレステロールの酸化を防止します。

このため動脈硬化の予防や血管の健康を保ち、毛細血管の血流を良くする働きがあります。

「カリウム」

つくしは、カリウムも豊富に含みます。

カリウムはミネラルの一つであり、ナトリウムと協力して細胞内の浸透圧を維持したり、細胞の活性を維持したりする役割があります。

ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制して、体内の不要なナトリウムを排出して、細胞内の浸透圧を維持します。

そのため血圧を下げるのを手助けしてくれて、高血圧の予防やむくみの解消に効果的です。

また、余分なナトリウムを排出することにより、神経刺激の伝達を高め、筋肉機能の調節、心臓機能などに効果を発揮してくれます。

また、疲労回復にも良い効果を与えてくれます。

なお、カリウムは欠乏すると「低カリウム血症」を発症し、子犬が情動不安になったり、筋麻痺などの例が報告されています。

また、過剰摂取してしまうと「高カリウム血症」の原因にもなるため、適量摂取に心がける必要があります。

「葉酸」

葉酸は、妊娠初期に必要となる栄養素であり、つくしには葉酸が含まれています。

細胞の生成に必要な栄養素であり、ビタミンB12とともに造血のビタミンと呼ばれ、赤血球の生産をフオローする働きがあります。

また葉酸は、正常な遺伝情報を持つDNA細胞の生成に深くかかわり、そのため胎児の先天異常のリスクを減らしてくれます。

さらに、生まれてくる子犬の発育にも役立つため、妊娠中の母犬には積極的に摂取して欲しい栄養素です。

「カルシウム」

つくしにはカルシウムも含まれています。

「天然の精神安定剤」とも呼ばれるカルシウムは、99%は骨の材料になり、骨や歯を丈夫にしてくれます。

骨そしょう症の予防にも効果的です。

また、神経や筋肉の活動が円滑に働くようにサポートをする役割もあります。

つくしとは

つくしは「スギナの胞子茎」であり、地下茎を伸ばして繁茂しています。

ニョッキリと春に芽を出すイメージですが、これは芽ではなく胞子体です。

つくしの丈は10~15cm 程度であり、「袴(はかま)」と呼ばれる茶色で輪状の葉の変形物が鞘状になって、茎を取り巻いています。

スギナにくっついて出てくることから「付く子」、また、袴の部分で継いでいるように見えることから「継く子」と呼ばれ、つくしと呼ばれるようになったとされています。

土手や田んぼのあぜ道、道路や歩道の脇などにもよく生えており、春の象徴とされその可愛らしい姿が親しまれてきました。

このため、日本の俳句では、春の季語として用いられるほどです。

地下茎は地中で長く伸びており、畑を耕して切断されてもまた再生することから、「地獄草」の別名で呼ばれたりもしています。

つくしの先端が「筆」に似ていることから、漢字では「土筆(つくし)」書くようになったとされています。

犬につくしを与える時の注意点

「下処理を行う」

犬につくしを与える場合、しっかり下処理を行う必要があります。

つくしは採取後に、みるみる鮮度が落ちていくため、素早く下処理を行うのが肝心。

まず最初に、固い繊維質の部分である茎部分にある袴を取り除きます。

次に水できれいに洗って、ごみなどを取っておきましょう。

お湯を沸騰させてつくしを入れます。

茹でる時間は、15~20秒ほどでOK。

次に冷水に移してアク抜きを行います。

アク抜きには数時間はかかるため、あせらず何度かチェックして、好みの苦みの味になるまで行ってください。

アク抜きが終われば、水気を絞ってこれで下処理は完了となります。

これでつくしを調理する準備が整いました。

「与え過ぎない」

つくしには、前述したとおり、「アルカロイド」「チアミナーゼ」「無機ケイ素」などの毒性成分が含まれています。

このため、つくしをワンちゃんに与えすぎてはいけません。

「散歩で食べさせない」

ワンちゃんは、よく散歩の最中に草を食べてしまいます。

このため、道路端などにつくしが生えている場合、勝手に愛犬がつくし食べないよう注意すべきです。

先ほど述べたように、つくしは下処理を行ってから与えるべきです。

また道端のつくしの場合、除草剤がかかっていたり、排気ガスや他の動物の排泄物がついている可能性もあり、その面からも注意が必要です。

「アレルギーに注意」

どのような食べ物でも、初めて愛犬に与える時には、常にアレルギーに注意すべきです。

このため、初めて愛犬につくしを食べさせるときは、極微量与えることがまずは常識。

そしてしっかり、愛犬に変化が何か生じないか観察します。

元気がなくなるなど、少しでも気になる変化が感じられた時には、それ以上与えないようにしてください。

アレルギーが起こったケースでは次のような症状が起こります。

・目の充血

・体を痒がる

・湿疹、じんましんが出る

・嘔吐、下痢など

riasu