犬の手作りご飯の作り方基本ルール!注意点と栄養素とコツ
愛犬のご飯は、自ら手作りしてあげたいという飼い主さんも多いはずです。
ただし愛犬の健康維持に最も大切なのが、当然ですが毎日のご飯です。
だから、栄養バランスが整ったご飯を作ってあげることが大切となります。
そのためには、与える分量と割合の目安など、手作りご飯の最低限の基本ルール程度は学んでおくべきでしょう。
さらに、犬には与えてしまうとダメな、中毒を起こしてしまうような危険な食べ物もあります。
そのような危険な食材はもちろんのこと、反対に栄養価が高く、免疫力をUPさせるような食材もあります。
また、食べると体が温まったり、逆に冷えてしまうような食材などもあります。
最低限の注意しておくべき食材は把握しておくべきでしょう。
今回は、犬の手作りご飯の作り方の基本ルールについて、簡単に分かりやすく紹介します。
手作りご飯の基本ルール
ルール1.愛犬をよく観察する
まずはあなたの愛犬の特徴を観察しましょう。
元気で健康であれば、問題ありませんが、いろんな問題を抱えているワンちゃんも多いはずです。
・肥満犬でダイエットが必要
・痩せすぎている
・運動量が多い活動犬である
・あまり運動をしない
・胃腸が弱く、すぐお腹を壊す
・アレルギー持ち
・好き嫌いがある
・少食または偏食
・老犬で歯が弱くなっている
・持病持ちである
まあ問題点は、細かなことまで上げ出せばきりがなさそうですが、主な気になる点があれば、それを考慮した手作り食を作る必要が生じてきます。
胃腸が弱いワンちゃんであれば、熱を加え柔らくしたり、食材を細かく刻んで消化をよくするなどの工夫が必要となってきます。
そして与えた食事に対しての、愛犬の反応を観察することが最も大切となります。
簡単に分かるチェックポイントが、ウンチの状態や、食欲、体重、毛並みなどです。
これらのポイントをしっかり観察し、変化を確認してご飯の内容を考えて作っていくことがまずは第一の手づくりご飯のルールとなります。
ルール2.食材はローテーションする
すべての色々な食材は、薬効をもっています。
そのため、食材は偏ることなく、ローテーションすることが基本ルールとなります。
量も大事で、適量を食べれば薬となりますが、過剰に食べ過ぎてしまえば毒となります。
同じ食べ物を与え続けてしまうと、アレルギーが生じる元となってしまいます。
また栄養も偏りがちとなります。
それぞれの食材にはメリットがあり、豊富にいろんな食材を食べることがオススメです。
なお、総合栄養食とされるドッグフードであっても、継続してしまうと、メインが例えば鶏肉であれば、鶏アレルギーが生じてしまう恐れが生まれます。
このため、食材はローテーションするのがおすすめとなります。
肉であっても、鶏、牛、豚、馬、鹿などという具合にいろんな種類があるため、可能であれば変化させてあげるのがおすすめで、またそれが簡単にできるのが手作り食の魅力となります。
あと当然ですが、特定の肉がアレルゲンとなるケースでは、その肉の使用は避けてください。
ルール3.旬の食材を取り入れる
食べ物には旬があることを知っておきましょう。
旬の食材は、味もその時期が一番美味しいし、栄養価も高くなります。
また季節に応じて必要な食材の役割もあります。
最近は、一年を通していつでも手に入る野菜が増えていますが、それは栽培技術の進歩であり、そのような野菜にも旬が存在します。
一年中、変化なく同じ野菜を与えるよりは、少しずつでも旬の野菜を優先させて食材に選んで与えてあげるのがおすすめです。
ルール4.タンパク質と穀類は別々に分けて与える
犬の消化スピードが、タンパク質と穀類では時間差が生じると認識しましょう。
犬は本来肉食のため、動物性タンパク質の肉の消化は得意であり、およそ12時間程度で腸を通過します。
それに比べて穀物の消化は苦手であり、30時間程度もかかるとされています。
このため、腸の負担を軽減するためにも、タンパク質と穀類は別々に分けて与えることがおすすめとなります。
なお、小麦やトウモロコシなどの穀物は、高アレルゲンとなり消化も悪いので、食材としては避けておくのが無難です。
ルール5.臓物は与え過ぎない
内臓系の肉は、好む犬も多くいますが、与え過ぎはNGと知っておきましょう。
週に1回程度で十分です。
また、毎日与えたいとするならば量を減らし、肉量の8:1程度で入れてあげましょう。
またレバーなどのビタミンAが豊富な肉を使用する場合などは、ビタミンAが過剰にならないように、ビタミンAを多く含む、大葉やニンジンなどの野菜を減らすなどの工夫を行ってください。
メインの肉類などが多く含むビタミン類は、野菜で調整するのも大事なテクニックとなります。
ルール6.ご飯は手で混ぜよう
手で混ぜてあげることは効果があります。
それは手には常在菌が存在するためであり、このため手で触ってあげることで有効成分が増加します。
糠漬けのぬか床も手で直接混ぜることが大事とされ、作る人によって味が変わると言われるほどなのです。
このため手で混ぜることが大きなポイントとなります。
したがって、手作り食でなくドライフードを与えるケースでも、手で混ぜてあげるのがおすすめです。
与える分量と割合の目安
犬の手作りご飯を作る場合、気になってしまうのが栄養バランスと与える分量です。
しかし余り気にしすぎても、作りにくくなってしまうため、トータルバランスが取れていればOKだと考えるようにするのがコツです。
分量の目安はワンちゃんの体重が目印となります。
まずは、体重に従ってメイン食材となる肉や魚などの分量を確定させます。
そして後は、見た目の分量で、肉1に対して野菜は1~2、炭水化物は~0.5程度にすれば問題ありません。
なお、炭水化物は毎回入れる必要はありません。
週に1度与えれば十分です。
この時は、メインの肉や魚を少なめにして、炭水化物と野菜をスープのご飯として与えてあげるのが良いです。
また活動量が多い犬の場合、ほんの少量入れてあげましょう。
犬の体重別の1日に与える肉と水分量の目安は次の通りです。
5kg | 10g | 20kg | |
肉 | 100~150g | 200~250g | 330~420g |
水分 | 350~400ml | 700~900ml | 1,000~1,200ml |
運動が多い活動犬は1.2倍増し、また高齢犬は70%程度の量に抑えましょう。
上記量を目安として、愛犬の体重管理によって、微調整していきます。
またウンチのチェックを行ってあげましょう。
便秘になった場合は、水分を増やし、食物繊維の量を減らしてください。
また加熱時間も増やしてあげましょう。
軟便、下痢になった場合は、野菜の量を減らし、状態を見ながら量の調整を行います。
食材に注意
先ず最初に、犬には与えることがダメで与えてしまうと中毒を引き起こし、最悪死に至ってしまう危険性があるNG食材があることを知っておきましょう。
それは次の7つの食材です。
1.タマネギ(ネギ・ニラなどのユリ科植物、ニンニク)
2.チョコレート
3.キシリトール
4.アボカド
5.マカダミアナッツ(ナッツ類、生の豆)
6.ぶどう・レーズン
7.アルコール
詳しくこの7つの食材など、犬に危険な食べ物を知りたい方は次の記事を参照してみましょう。
注意すべき危険な食べ物
「アブラナ科の野菜」
普段よく利用する野菜の約7割がアブラナ科の野菜だと言えます。
キャベツ、ブロッコリー、カブ、大根、カリフラワーなんて具合です。
アブラナ科の野菜には、「ゴイトロゲン」といわれる物質が含まれており、ヨウ素の吸収を阻害してしまうため、甲状腺疾患の犬にはNGだと知っておきましょう。
ただし、健康なワンちゃんであれば問題ありません。
「ナス科の野菜」
ナス、ピーマン、ジャガイモ、トマトなどのナス科の野菜は、体を冷やす作用が働くことが多いです。
したがって、火を通して与えてあげるのがおすすめです。
なお、関節炎やフィラリアに感染している場合は、ナス科の野菜は与えないようにしてください。
「シュウ酸を含む野菜に注意」
ほうれん草など、シュウ酸を含む野菜に注意しましょう。
「シュウ酸」を摂取しすぎると、ワンちゃんは、「尿路結石症」になる可能性が高くなってしまいます。
尿路結石症とは、結晶化した石が尿道に詰まってしまう病気であり、オシッコが出にくくなったり、オシッコをする際に痛みが生じます。
シュウ酸はあくの中に含まれているので、あく抜きをすれば大丈夫です。
茹でて、水洗いをすることで、簡単にあく抜きができます。
またシュウ酸は、腸の中でカルシウムと結びつくことで、シュウ酸は便と一緒に体外に排出されます。
このため、ほうれん草などのシュウ酸を含む野菜を食べる際には、同時にカルシウムを多く含んでいる食品と一緒に食べるのがおすすめです。
さらに、ほうれん草などシュウ酸を含む野菜を食べた後では、水分を多く摂取することで結石になりにくくなります。
「卵」
生卵は黄身はOKですが、白身はNGです。
このため白身は必ず加熱してください。
NG原因は「アビジン」という塩基性糖タンパク質で、ビオチンと呼ばれるビタミンB群(ビタミンHやビタミンB7など)の吸収を妨げます。
ビオチン不足になると、皮膚炎、抜け毛、免疫力が低下、成長不良の症状を引き起こして健康に害が生じます。
なお、一度に大量に摂取してしまうと、下痢を起こす可能性があります。
「青魚」
青魚はDHAやEPAを豊富に含み、週に1~2回は与えたい食材です。
ただし頭と内臓は必ず取る必要があります。
これは貴金属を含む可能性が高いためです。
これは煮干しなども同様だと知っておきましょう。
「はちみつ」
はちみつは1歳までの人間の赤ちゃんに与えてはダメです。
ポツリヌス菌による、食中毒の危険性があり、1歳未満の赤ちゃんが死亡するという事件が起こっています。
同様に子犬にはちみつを与えるのはNGです。
なお成犬の場合、ボツリヌス菌によってワンちゃんが中毒症状を起こしたという事例は報告されていません。
ただし、はちみつは極めて糖度が高いため、カロリーオーバーの懸念があり、はちみつを与えればまず肥満になってしまいます。
「牛乳」
ワンちゃんに牛乳を飲ませてしまうと、下痢を起こしたり、アレルギーが起こるなどの症状が出てしまうケースがあります。
乳糖(にゅうとう)(別名:ラクトース)という成分が、牛乳には含まれており、これが下痢を起こす犯人です。
そして、牛乳に含まれるタンパク質が、アレルギーを引き起こすアレルゲンとなります。
犬は牛乳に含まれている乳糖を分解するための酵素(ラクターゼ)が少ないため、乳糖がうまく分解出来ないのが原因であり、これを乳糖不耐症といいます。
このため、牛乳を与えたい場合は、犬用牛乳やヤギミルクを与えるようにしてあげてください。
「乳製品」
乳製品は甲状腺疾患の犬にはNGだと知っておきましょう。
犬にオススメの乳製品は、乳糖が少ない、カッテージチーズやブレーンタイプのヨーグルトです。
なおヨーグルトでも、脂質ゼロや低脂肪のヨーグトは、ブドウ糖が多いので向きません。
「大豆類」
発酵させた納豆は大丈夫ですが、生の豆乳、豆腐、おからなどは下痢を起こしやすいので要注意です。
また大豆が高アレルゲンです。
ワンちゃんに与える時には、必ず火を通すように注意しましょう。
「その他の避けたい食材」
・カニやエビなどの甲殻類
甲殻類を食べるとビタミンB1欠乏症を引き起こす危険があります。
また、イカは消化が悪く、消化不良の原因になります。
・加熱した骨や魚の骨
生の骨は安全に噛み砕くことが可能ですが、鳥の骨などを加熱してしまうと、噛んだ際に縦に鋭く裂けて鋭利な刃物状態になるので、食道や消化器官に刺さる恐れがあり危険です。
また、魚の大きな骨も危険です。
・カフェイン入りの飲料(コーヒー、紅茶、緑茶など)
カフェインで犬は中毒症状を起こし、窒息の危険性があります。
・唐辛子や香辛料(刺激物)
ワンちゃんは、辛味や苦味への味覚が鋭敏であり、刺激物に対する耐性が低いため、刺激物である唐辛子や香辛料、わさび、コショウなどを与えてしまうと、胃炎などを引き起こしたり、下痢になったりします。
・ジャガイモの芽
ジャガイモの芽は、人間も食べてはいけないとされています。
それはソラニンという物質を含み、中毒を引き起こす恐れがあるからです。
・アロエ
原因不明ですが、腎炎を引き起こすとされています。
このためうっかりアロエ入りヨーグルトを与えてしまわないように注意しましょう。
・トマトやナスなどのへた
ナス科の植物の芽にもソラニンが多く含まれているため、注意が必要です。
この他野菜にも、栄養満点のオススメと注意すべきモノがあります。
手作り食を作る場合、野菜は活用する必須食材のため、良い野菜とNG野菜を知っておくことが必要です。
当サイトでは、犬が食べても良い野菜と悪い野菜として、70種類以上の野菜を一覧にまとめて紹介しているので、次の記事を参照してみてください。
参考文献:「犬ごはんの教科書」俵森 朋子 (著)
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