犬は鯖(サバ)を食べても大丈夫?栄養素や与える時の注意点は

 

鯖(サバ)は種類によって旬の時期が異なります。

例えばごま鯖であれば、夏に脂がのって7~9月の時期が旬とされています。

一方、真鯖であれば反対に冬に脂がのり、10月~2月ごろが美味しくなります。

しかし鯖は、スーパーに行けば年中を通して並んでいる一般的な魚であり、そのため食卓に登場する機会も多いはずで、昔から安くて美味しい大衆魚として親しまれています。

近年では「ブランド鯖」も大きな話題を集めたりして、大分県の「関サバ」などが有名。

また人気の理由のひとつが、栄養価も高く、さらに青魚特有の脳を活性化させる作用が働くこと。

鯖は、日本の食文化に深く浸透しており、和食の定番食材として、塩焼き、味噌煮、寿司ネタなど、いろんな形で味わえます。

こんな鯖をワンちゃんは食べることができるのでしょうか?

 

犬に鯖を与えて大丈夫?

 

もちろん与えても大丈夫です。

魚である鯖は、貴重な犬に必要な動物性タンパク質ですからね。

その証拠にドライフードには、魚を主原料としたものも多く、人気を誇っています。

ビタミンが豊富な鯖は、老犬にも持ってこいの食材ですね。

しっかり骨だけは取り除き、生で与えることなく熱を通して、与え過ぎだけ注意すればOKだね。

 

鯖(まさば)の主な栄養素

鯖(まさば)の100gあたりの生と焼きについて比較してみましょう。

成分名           鯖(まさば)生    鯖(まさば)焼き

エネルギー         247kcal                  318 kcal

水分            62.1g                      54.1g

タンパク質         20.6g                            35.2g

脂質            16.8g                            22.4g

ナトリウム         110㎎                            120mg

カリウム          330㎎                             370mg

リン            220㎎                            280mg

亜鉛            1.1㎎                             1.4mg

銅             0.12㎎                           0.16mg

ビタミンB2                          0.31mg                         0.37mg

ビタミンB6          0.59mg                          0.54mg

ビタミンB12        12.9μg                           21.9μg

ビタミンC                            1mg                                0mg

ビタミンD         5.1μg                              4.9μg

葉酸                11μg                                13μg

ナイアシン         11.7mg                            13.4mg

参照:食品成分データベース(文部科学省)

 

「DHA(ドコサヘキサエン酸)」

青魚と言えばDHAというイメージでしょう。

もちろん鯖にもたっぷり含まれていますよ。

DHAは、脳神経細胞の細胞膜機能を保護して、老化予防や認知症予防の効果があり、特に高齢犬にはもってこい。

さらに、視覚回復のサポートもはたし、目の網膜や視神経での情報伝達の向上をもたらします。

 

EPA(エイコサペンタエン酸)

鯖ブームを引き起こした成分がこのEPA。

EPAは、コレステロールを低下させて、血液をサラサラにしてくれて血流がよくなり、さらに加えて血管を柔らかくする効果も働き、血栓や脳梗塞の予防に期待できます。

また、ガン予防にも期待されていますね。

この他にも、体内の痩せるホルモンを増やすことが注目されており、このためダイエットにも期待が高まる成分です。

 

「ビタミンD」

ビタミンDは日光を浴びることにより、体内で作られるビタミンですが、ワンちゃんは被毛に覆われているため、人間と比較して作られる量が少ないとされています。

このためワンちゃんは、しっかり食べ物から摂取することが大切となり、鯖にはビタミンDが含まれているため有効です。

ビタミンDの働きは、カルシウムやリンの吸収をサポートし、血中カルシウムやリン酸の濃度をコントロールすること。

このため、骨や歯を強くして、健康的な発育には欠かせない栄養とされています。

ビタミンDが不足すると骨からカルシュウムが血中に流れ出してしまうため、骨粗しょう症や軟骨化症を招いてしまいます。

また、ビタミンDには、細胞で抗菌物質を分泌し、免疫力を高める効果もあります。

 

「セレン」

鯖はセレンを豊富に含んでいます。

セレンは、タンパク質と結合することでカラダに吸収されやすくなる性質を持っており、非常に高い抗酸化作用があります。

このため、がん予防やアンチエイジングの効果が期待できます。

 

犬に鯖を与える時の注意点

 

「骨に注意」

鯖に限らず魚には小骨が多くあるため、注意しないと喉や内臓に刺さる可能性があります。

だから十分注意して、出来るだけ取り除くほうが安心。

チワワのような気管が細い小型犬や、老犬など飲み込む力が衰えている場合は、危険性が増してしまいます。

また反対に、一層のこと骨ごと食べられるように調理する手もありオススメ。

・フードプロセッサーや、すり鉢を使ってすり潰す

・圧力鍋で煮ることで、骨を柔らかくする

このようにあなたが頑張ってひと手間かけてあげれば、安心して骨ごと食べられます。

 

「与え過ぎない」

鯖などの青魚は油分が多いため、与え過ぎてしまうと下痢の原因となります。

そのため、例えばチワワであれば、5g程度までにしておきましょう。

体重10kgのワンちゃんで、20g程度が与える限度の目安です。

 

「味付けはしない」

人間であれば、鯖を塩焼きにするなどしてしまいますが、愛犬に与える場合には、鯖に味付けをしないようにしましょう。

人間用の味付けにしてしまうと塩分が気になります。

鯖は味付けなどしなくても、ワンちゃんは喜んで食べてくれますよ。

例えば、ほぐした鯖をご飯に混ぜてあげれば、それだけで美味しそうにバクバク食べてくれます。

また鯖と相性の良いオススメ食材は以下の通り。

・ニンジン

・ブロッコリー

・かぼちゃ

・レンコン

・ごぼう

・きゅうり

・オクラ

・バナナ

・トマト

また、鯖をおやつとして与えてあげるのもおすすめです。

 

「ヒスタミン」

鯖には、犬が中毒を引き起こすアレルギーの原因となる、ヒスタミンという物質がついていることがあるため注意が必要。

このため、赤く腫れ上がってしまったり、嘔吐や下痢等の症状が起こる可能性があり、重症となれば呼吸困難などを起こす恐れもあります。

鯖は鮮度が落ちやすく傷みやすいとよく言われ、あたりやすいとされる原因がこのヒスタミンです。

そのため鯖は、できるだけ新鮮なものを選び、できるだけ早く調理するのが大切なポイントとなります。

新鮮な鯖を選ぶための鮮度の見分け方のチェックポイントを紹介。

目を付けるポイントは、「身体の色」・「目」・「腹」の3つとなります。

身体の色:新鮮な証となるのが青光りしているもの。時間が経過した鯖は、身体の表面が黄色みを帯びています。

目:これは魚の鮮度を見抜く場合の共通ポイント。とにかく目が澄んでいることが一番。鮮度が落ちてきた魚は、目の色が充血したように赤くなってきます。

腹:鯖に触ることが可能であれば、是非腹を触ってチェックするべきです。お腹が柔らかい感触に感じられるものは、鮮度が落ちており新鮮ではありません。お腹を触った感触がしっかりしたものを選んでください。

 

「イエローファット」

主に魚を多く食べる猫がかかりやすい病気としてよく知られているイエローファットですが、当然犬にも起こります。

鯖のような青魚には不飽和脂肪酸が多く含まれており、このため食べ過ぎてしまうと、体内の脂肪を酸化させてしまうこととなって、「黄色脂肪症(イエローファット)」を発症してしまう可能性があります。

主な症状は以下の通り。

主な症状
・食欲不振となる

・毛のツヤなどが悪くなる

・発熱

・腹部に痛みや硬い脂肪のしこりが出きる

 

「寄生虫アニサキス」

アニサキスとは寄生虫(線虫)の一種であり魚介類に寄生しますが、人間がアニサキス被害にあう原因の多くがしめ鯖と言われています。

アニサキスを生きたまま体内へ取り込んでしまうと、胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニキサス症)を引き起こすこととなり、これはのたうちまわるほどの激痛と嘔吐などを生じるとされ、同様にワンちゃんもアニキサス症を起こす可能性があります。

このため対策としては、鯖は生で与えずに、必ず煮たり焼いたりするなど火を通して熱を加えること。

アニキサスは熱に弱いのが特徴です。

70℃以上の熱ならばほぼ瞬間的に、また60℃であれば、1分程度で死滅するといわれています。