犬にアーモンドを与えても大丈夫?気になるナッツ中毒と注意点
アーモンドといえば、お菓子や酒のつまみのイメージが浮かびますが、ナッツ類の中でもビタミンやミネラル、ポリフェノール、オレイン酸・リノレン酸・リノール酸などの不飽和脂肪酸を豊富に含み、皮膚や薄毛対策、粘膜の健康に適した食材です。
ただし、ナッツ類だけにナッツ中毒が心配、また、消化性の悪さも気になるところです。
はたして犬にアーモンドを与えても大丈夫なのでしょうか?
犬にアーモンドを与えても大丈夫?
結論を言えば、犬にアーモンドを与えても大丈夫です。
アーモンドには、犬が食べてはいけないとされる成分は入っていません。
気になるナッツ中毒もアーモンドには問題ありません。
ただし、食物繊維が多く含まれ細胞が硬く、消化の悪い食材のため、過剰摂取はNGです。
アーモンドの主な栄養素
成分名 成分量(100gあたり)
エネルギー 587kcal
水分 4.7g
タンパク質 19.6g
ナトリウム 1 mg
カリウム 760 mg
リン 430 mg
亜鉛 3.6 mg
銅 1.17 mg
ビタミンB2 1.06mg
ビタミンB6 0.09mg
葉酸 65μg
ナイアシン 3.6mg
食物繊維 10.1g
「リン」
アーモンドにはリンが豊富に含まれています。
リンはエネルギー代謝を助ける作用があり、また骨を強くするミネラルです。
ただしリンを過剰摂取してしまうと、反対に骨密度が低下したり、さらに腎泌尿器に結石ができることもあるため注意も必要です。
「カリウム」
アーモンドには、100gあたり760mgものカリウムが含まれています。
カリウムは、代謝や神経の働きをサポートすることで、情報を正しく伝達してくれ、細胞内の水分浸透圧を正常化する効果があるため、体の中の不要な水分や塩分を体外に排出してくれます。
また、高血圧の予防にも効果を発揮します。
カリウムが不足すると、脱力感が生じ、神経過敏となり、不整脈などを発症しやすくなります。
犬の健康を維持する上でカリウムは、欠乏しても過剰になっても悪影響を与えてしまいます
「葉酸」
葉酸は、鉄の吸収を高める働きがあり、胎児の健全な発育に欠かせない成分です。
ビタミンCなどと同様にチワワの体内で腸内細菌によって合成されますが、必要十分な量だとは限らないため、食べ物から摂取するのが有効です。
特に、妊娠中の母犬には必要があるとされています。
葉酸には、細胞内のDNAやタンパク質の合成を助けて、胎児の先天異常を防止する効果があります。
このため、葉酸欠乏状態になってしまうと、生れてくる赤ちゃん犬が奇形になる可能性が高まります。
口蓋裂や口唇裂、脊椎披裂といった奇形に注意が必要です。
また、血液の赤血球を作る働きもあるため、葉酸欠乏になると貧血や口内炎を起こす恐れがあります。
「ビタミンE」
アーモンドは、ナッツ類の中でもビタミンEを多く含んでいます。
ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれているように、アンチエイジング効果が期待できます。
また、強力な抗酸化作用が働き活性酸素を無害化するため、動脈硬化の予防や老化による病気の予防・治療に効果を発揮してくれます。
「ミネラルが豊富」
ミネラルは、タンパク質・脂質・炭水化物の3大栄養素の機能をサポートしてくれる大切な成分ですが、その中でも特に亜鉛、カルシウム、マグネシウムをアーモンドは多く含んでいます。
亜鉛は体内のビタミンAの代謝を促し、抗酸化作用を活性化します。
カルシウムは、筋肉や骨の強化に必須であり、マグネシウムは、体内のエネルギー代謝を助けてくれます。
「不飽和脂肪酸」
アーモンドの主成分となる脂質の大半は、不飽和脂肪酸であるオレイン酸やリノレン酸、リノール酸です。
悪玉コレステロールを低減させる作用があり、動脈硬化などの病気を予防したり、便通をよくする効果などがあります。
また、オレイン酸には、保湿効果やバリア効果を上げて、皮膚や毛の健康維持を保つ効果もあります。
アーモンドの種類
アーモンドにはいろいろなタイプのアーモンドがあるため注意が必要です。
「生アーモンド(ローアーモンド)」
名前の通り、ローストしていない生のアーモンドのこと。
ただし、生アーモンドを犬に与える場合には、注意が必要となります。
生アーモンドに含まれる酵素抑制物質が、犬の内臓に負担をかける可能性があるとされています。
このため、浸水や加熱することにより、この問題を解決する必要があります。
また、サルモネラ菌への注意が必要です。
生アーモンドのサルモネラ菌のために、海外では食中毒になった事例が報告されています。
このため、生アーモンドがサルモネラ菌に汚染されないような、安全な保管状態を保つ必要があります。
「素焼きアーモンド」
油や塩などを一切使用せずに、ただ炒っただけのものが素焼きアーモンドです。
このため気になる塩分や油の摂取を抑えることができます。
したがって、ワンちゃんに与えるには、シンプルにローストした素焼きアーモンドはおすすめです。
「アーモンドプードル(アーモンドパウダー)」
アーモンドプードルは、お菓子の材料コーナーに行けば、手軽に1年を通して入手が可能です。
クッキーやボーロなどの犬用おやつを作る時には、小麦粉の代わりとして使われており、小麦粉アレルギーの犬にはおすすめです。
アーモンドプードルとは、アーモンドの皮をむいて粉末状にしたものです。
ワンちゃんにアーモンドを与える場合、丸呑みさせないために、通常砕いて与えることとなります。
アーモンドプードルであればこの手間が省けてオススメ。
アーモンドを砕くのが面倒と感じる人には持ってこいで、そのままフードにふりかけるだけで、手軽に使えて重宝します。
「アーモンドミルク」
アーモンドミルクは、今ちょっと流行っており注目を集めていますね。
水に浸した生アーモンドをミキサーにかけて撹拌し、それを裏ごししたものがアーモンドミルク。
つまり、アーモンドをすりつぶしてミルク状にしたものです。
最近注目されている理由が、コレステロール値を下げる効果があるため。
このため、牛乳や豆乳の代わりに利用されことが多くなっており、さらに低カロリーであることも人気を呼んでいます。
なお、アーモンドの栄養も失うことなく含まれているところも魅力です。
犬に飲ませれば毛艶を良くする効果があり、消化もよいとされています。
最近は加工品がスーパーで簡単に入手可能です。
ただし、市販のアーモンドミルクは、飲みやすいように砂糖などを入れて調整されていることが多く注意が必要。
購入する際はパッケージを必ず確認して、含まれている成分をチェックしてから選ぶ必要があります。
できれば添加物も含まれていないものがおすすめですね。
「アーモンドオイル」
アーモンドオイルとは、アーモンドの種子から抽出された植物性の天然オイル。
オレイン酸が豊富で良質な油ですが、やはり油なので与えすぎてしまえば、ワンちゃんの肥満の原因となるので注意が必要です。
「アーモンドバター」
アーモンドバターとは、アーモンドを細かく砕いてバターに混ぜて、ペースト状にしたものです。
アーモンドオイルと同様で油が多いため、与え過ぎれば肥満の原因となるため、わざわざ与える必要はないでしょう。
紹介してきた、アーモンドミルク、アーモンドパウダー、アーモンドプードル、アーモンドオイル、アーモンドバターなどは、犬が食べても問題はなく、与えてもいいアーモンドといえます。
ただし、与えすぎずに適量を守ることが大切です。
特にアーモンドの加工食品の中には、糖分や塩分が多量に使用して味付けをしているものもあるため、十分に注意をすべきです。
続いて、犬に与えてはいけないアーモンドを紹介します。
・アーモンドチーズ
・アーモンドフィッシュ
・アーモンドチョコレート
上記の3つのアーモンドの加工品は、塩分や糖分が多く含まれているため、基本的に与えないようにしてください。
アーモンド自体は犬に与えても問題はありませんが、加工品はどうしても味付け自体が人間用のため、濃くなり犬には向きません。
また、製造過程で使われる添加物も心配です。
アーモンドを使ったおやつを愛犬に与えたい場合、犬用に作られたものを与えるのが無難でおすすめです。
あと注意すべきが、アーモンドチョコレート。
みなさんも犬にとってチョコレートが、中毒を起こしてしまう食べさせてはいけない危険な食べ物であると認識しているはずです。
このため、アーモンドチョコレートは絶対にワンちゃんに食べさせるのはNGとなります。
犬にはチョコレート以外にも、食べてしまえば最悪死に至ることもあるような、絶対食べさせてはいけない食べ物があります。
飼い主さんは、それらの危険な食べ物だけは、必ずしっかり把握しておく必要があります。
関連記事:「チワワに与えてはダメなご飯!中毒を引き起こす危険な食べ物」
犬にアーモンド以外のナッツ類を与えて大丈夫?
アーモンドは犬が食べても大丈夫ですが、ナッツ類の中には、犬が食べると危険な食べ物もあるため紹介しておきます。
「クルミ」
クルミは少量であれば犬が食べても大丈夫です。
ただし与えすぎるとナッツ中毒を起こす可能性があります。
またクルミには、カロリーや食物繊維が豊富に含まれているため、過剰摂取をすると肥満や、下痢・嘔吐など健康に悪影響となります。
そのため、クルミは栄養価が高いですが、過剰摂取は絶対NGです。
「ピーナッツ」
ピーナッツもアーモンドと同じく、犬が食べても大丈夫です。
ただし、ピーナッツアレルギーの犬は多いため、食べただけで嘔吐と下痢、湿疹を起こす場合もあるため、最初に与えるときは特に慎重に与えてください。
また、ピーナッツを使った人間用の加工食品には、塩分や糖分が多量に使われているため、与えないのが無難でおすすめです。
「マカダミアナッツ」
ナッツ類の中でもマカダミアナッツは要注意です。
犬がマカダミアナッツを食べてしまうと中毒を引き起こす恐れがあるため、絶対に与えないようにしてください。
体重1kgあたり2.2gのマカダミアナッツを食べてしまうと、ワンちゃんは中毒症状が出てしまうとされています。
中毒を引き起こしてしまうと、嘔吐や下痢、発熱、痙攣、運動失調、頻脈などの症状を引き起こし、重度の場合は腎不全となり死亡することもあります。
もし万一愛犬が、マカダミアナッツを誤って食べてしまった場合は、早急に動物病院に連れていってあげましょう。
「ココナッツ」
ココナッツは犬が食べても大丈夫。
食物繊維を多く含み便秘解消効果があり、さらにミネラルも豊富です。
ただし、ココナッツは脂肪酸が多いため、食べすぎると消化不良を引き起こす恐れがあります。
そのため、過剰摂取しないように与える量には注意が必要。
関連記事:「チワワにココナッツを食べさせて大丈夫?メリットと注意点!」
犬にアーモンドを与える時の注意点
「肥満」
アーモンドに含まれている脂質は、大半が不飽和脂肪酸であるオレイン酸やリノレン酸、リノール酸のため、太りにくいとも言われています。
ただしアーモンドには、100g当たり587kcalほどのカロリーが含まれており、これは一粒あたりに換算した場合、約6kcalほどとなります。
このため、過剰摂取してしまうと肥満につながってしまいます。
「塩分の過剰摂取」
アーモンドには、ビールのつまみによく合う、塩味のついたアーモンドがあります。
このように、人間用に味付けされているアーモンドにはかなりの塩分が加えられており、
ワンちゃんに与えるべきではありません。
犬が1日に必要とする塩分量は、ナトリウムで体重1㎏あたり50mgとされており、さらに犬の塩分致死量は、体重1㎏あたり4gだと言われています。
また塩分は、長期的に過剰摂取してしまうと、心臓・腎臓といった犬の内臓に負担がかかってしまう原因にもなります。
「消化不良」
人間でもアーモンドに限らず、ナッツ類を多く食べ過ぎてしまえば、よく腹痛を起こしてしまいます。
これはナッツ類の特徴であり、アーモンドの細胞が非常に硬くて厚いためです。
したがってナッツ類は、食べ過ぎてしまうと消化不良を起こしやすく、また栄養を吸収するにも時間がかかり、下痢や便秘の原因になりやすい食材なのです。
このため愛犬にアーモンドを与える際には、細かく砕いて消化しやすくして、また与え過ぎないように注意しましょう。
ワンちゃんにアーモンドを過剰に与えてしまうと、消化不良により軟便・下痢、嘔吐を引き起こすだけでなく、消化しきれずに腸につまってしまい、腸閉塞を引き起こす恐れもあると認識しておきましょう。
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