犬はあさりを食べても大丈夫?栄養素や与え方の注意点
あさりは二枚貝の一種であり、日本では古くから食用とされており、貝塚などから数多くの貝殻が出土されています。
あさりの貝殻の模様は、人間の指紋と同様に同じものは一つとないと言われ程多様であり、個体ごとに柄や色が異なり、見ているだけでも楽しめてしまいます。
あさりの味噌汁は、日本人なら最高の定番の一品。
さらに酒蒸し、パスタやピザ、炊き込みご飯の具にするなど様々なメニューで楽しめます。
貝類は犬には要注意とも言われますが、はたしてあさりは犬が食べても大丈夫なのでしょうか?
犬はあさりを食べても大丈夫?
結論を言えば、答えは大丈夫です。
あさりには、犬にも必要な栄養が含まれており、人間同様ワンちゃんにも健康に良い食材と言えます。
ただし貝類は、例えばアワビやサザエなどのように、犬に与えるのが危険視される種類もあるため注意が必要です。
あさりの主な栄養素
成分名 成分量(100gあたり)
エネルギー 30kcal
水分 90.3g
タンパク質 6g
ナトリウム 870 mg
カリウム 140 mg
リン 85 mg
亜鉛 1 mg
銅 0.06 mg
鉄 3.8mg
ビタミンB2 0.16mg
ビタミンB6 0.04mg
ビタミンB12 52.4μg
ビタミンC 1mg
葉酸 11μg
ナイアシン 1.4mg
「ビタミンB12」
ビタミンB12は、脳や神経のビタミンと呼ばれ、脳神経の働きに関与し、脳からの指令を体全体に伝える役目を担います。
また、葉酸と協力することで、赤血球の中のヘモグロビンを作る働きをします。
ビタミンB12の主な働きは以下の通り。
・壊れた細胞を修復する。
・神経の壊れた部分を修復する。
・神経伝達物質を作る働き。
・免疫を向上する。
・血流をよくする。
「タウリン」
あさりはタウリンを豊富に含んでいます。
タウリンは強い抗酸化作用を持ちます。
またタウリンの働きで胆汁酸の分泌が増え、血液中のコレステロール値を下げてくれます。
さらに、心臓機能を正常に保ち、視力を回復させる効果もあります。
「ベタイン」
あさりはベタインを豊富に含んでいます。
犬の血中コレステロールを下げる働きがあり、ガンや糖尿病などの様々な生活習慣病の予防に役立ちます。
また、胆汁の分泌を促す作用があり、脂肪の代謝を良くするため、ダイエットにも効果が期待できます。
「クロム」
あさりはクロムを豊富に含んでいます。
「インスリン」の分泌を促す働きがあり、犬の糖尿病に効果が期待できます。
犬の糖尿病は、血糖値を抑えるンスリンが分泌されなくなり、どんどん血糖値が上がってしまうため、クロムを豊富に含むあさりは予防にもってこいです。
「鉄分」
あさりには鉄分が含まれていま。す
鉄分は、血液の赤血球に含まいれるヘモグロビンを作り、全身へ酸素を運んでくれます。
このため、貧血予防に効果を発揮して役立ちます。
また、鉄分が不足してしまうと、ワンちゃんの元気がなくなり、疲れやすくなるので注意が必要です。
「カリウム」
カリウムはミネラルの一つであり、ナトリウムと協力して細胞内の浸透圧を維持したり、細胞の活性を維持したりする役割があります。
ナトリウムが腎臓で再吸収されるのを抑制して、体内の不要なナトリウムを輩出して、細胞内の浸透圧を維持します。
そのため血圧を下げるのを手助けしてくれて、高血圧の予防やむくみの解消に効果的です。
また、余分なナトリウムを排出することにより、神経刺激の伝達を高め、筋肉機能の調節、心臓機能などに効果を発揮してくれます。
また、疲労回復にも良い効果を与えてくれます。
なお、カリウムは欠乏すると「低カリウム血症」を発症し、子犬が情動不安になったり、筋麻痺などの例が報告されています。
また、過剰摂取してしまうと「高カリウム血症」の原因にもなるため、適量摂取に心がける必要があります。
犬にあさりを与える時の注意点
「与えすぎない」
犬はあさりなどの貝類の消化が苦手です。
このため与え過ぎてしまうと、消化不良を起こして、下痢や嘔吐の原因となるため注意が必要です。
「砂抜きを行う」
あさりの砂抜きを行うのは常識ですね。
しっかり砂抜きしないと、口の中がジャリジャリになってしまいます。
また、砂だけではなく、「砂抜き」がしっかり行われていない場合、海の不純物まで体内に取り込んでしまう可能性があります。
あさりのような二枚貝は、まれに雑菌やウイルスが付着していることもあります。
また、ガラス片や金属片などを含んでいたり、場所によってはヘドロなども含まれています。
このため、あさりの下処理は十分行ってください。
・砂抜きの方法
海水に近い塩水を作るのがポイント。
水500mlに対して、大さじ1の塩15gを入れることで、ほぼ海水に近い塩分濃度を作ることができます。
タッパーやバットなどに、あさりが重ならないように入れて、あさりの頭が少し出るくらい程度に塩水を入れます。
塩水が多すぎると、あさりがよく砂を吐き出さないので注意しましょう。
それこそ、塩水の量が多すぎて、あさりを深く沈めてしまうと、酸欠になることもあるため注意が必要。
あさりが塩水を吐くため、ラップしておくのがおすすめです。
なお、砂抜きの場所は、冷暗所が適しています。
濡らした新聞紙やアルミホイルで軽く覆ったりして、光を遮ってあげましょう。
これはあさりが、砂に潜っているのに近い状態にするためです。
なお、砂抜きさせる時間は、2~3時間ほどです。
砂抜きが完了すれば、あさりを取りだして、あさり同士をこすり合わせるようにして、流水で洗ってください。
なお、直ぐにあさりを食べたい場合は、50℃程度のお湯を使って塩抜きを行います。
50℃のお湯の簡単な作り方は、お湯を沸騰させ、同量の水を混ぜれば約50℃となります。
50℃のお湯の入ったボウルにあさりを入れ、やけどに注意しながら、あさりの殻をゴリゴリとこすり合わせます。
これで簡単に砂を吐き出すので、汚れがひどい場合はお湯を取り換えながら行います。
ある程度砂を吐き出したならば、その後、5~10分程度お湯につけておけば終了。
流水で洗って完成です。
これは、「50℃洗い」と呼ばれる裏技であり、素早くあさりの砂を吐き出させる方法ですが、これを使った場合、日持ちがしなくなるため、その日のうちに食べきってしまってください。
「加熱する」
あさりに限らず貝類には、チアミナーゼ酵素の一種である「アノイリナーゼ」というビタミンB1を分解する酵素を含んでおり、注意が必要です。
そのため、アノイリナーゼを多く摂取してしまうと、ビタミンB1欠乏症が生じてしまいます。
ビタミンB1欠乏症の特徴は、次の通り。
・発育障害
・体重減少
・おう吐
・よだれが多く出る
・ふらつき
・元気がなくなる
・けいれん発作
・運動障害
・心室肥大
・徐脈
アノイリナーゼは、熱を加えることによって活性が失われるため、あさりは生で与えずに必ず加熱するように注意しましょう。
「アレルギーに注意」
どのような食べ物でも、初めて愛犬に与える時には、常にアレルギーに注意すべきです。
このため、初めて愛犬にあさりを食べさせるときは、極微量与えることがまずは常識。
そしてしっかり、愛犬に変化が何か生じないか観察します。
元気がなくなるなど、少しでも気になる変化が感じられた時には、それ以上与えないようにしてください。
アレルギーが起こったケースでは次のような症状が起こります。
・目の充血
・体を痒がる
・湿疹、じんましんが出る
・嘔吐、下痢など
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